概要
原題:African Kung-Fu Nazis 2
製作:2024年ガーナ・ドイツ・日本
配給:トランスフォーマー
監督:セバスチャン・スタイン/ニンジャマン
出演:ジョージ・アバイエ/ごっちゃんこ/ベネット・ドゥオモー/ンケチ・チネドゥ/セバスチャン・スタイン
第二次大戦後、ガーナへ亡命し世界征服を企んでいたヒトラーは影蛇拳の使い手アデーによって倒された。しかし数年後、ヒトラーはWindows95搭載のロボ・ヒトラーとなり、ふたたびガーナで大統領選へと出馬。暗殺されたアデーの弟アドーは対立候補である師匠を応援するが…
予告編
感想
前作から4年7か月の時を経て全国劇場公開を果たした奇跡の続編。
初日に観に行こうかなと思ってましたが、せっかくだからセバスチャン・スタイン監督の舞台挨拶付きの回で行ってきました(サツゲキ)。ドイツからわざわざ札幌まで来てくれるなんてずいぶん奇特な人なんだなあ。
…と思ってたら、監督はもう20年以上日本に住んでいるそうで、日本語もペラペラでした。前作にも増してやけに日本要素が多い映画だなと思ったら国内在住だったとは。相変わらず字幕は関西弁だし、博多弁しゃべる奴まで出てくるし。これはもはや実質邦画みたいなものでは?作中に出てきた「ゆるふわぴんくチャン最強」とか何あれ??
しかし終わってみると日本とガーナとドイツという一見かけ離れたお国柄の味わいがなんとなく調和していたような気がしてくるから面白い。混ぜるな危険の刺激臭がプンプンしていた前作と比べると多少洗練されている感がなくもない。
監督は「元々続編を作るつもりはなかった」と語っており、本作はファンの熱い要望によって突き動かされた結果のようです。わざわざ日本からガーナまで行って撮影するの異常に大変そうですしね。前作は酔った勢いでやっちゃったみたいな感じでしたが。そんな一発ネタ的な超低予算映画だったのにやたらファンが濃いんですよね。SNSでは何年経ってもやたらアドンコ!アドンコ!唱えてるガーナアーリア人たちが大勢いたし。
今回のサツゲキにも相当なアドンコ中毒者が集結していたようで、オマージュクイズの時に我も我もと作中に散りばめられたオマージュの元ネタを挙げてくる人がいたのが印象的でした。みんなずいぶん細かいところまで気が付くもんですね。私が判ったのはキン肉マンネタとZ級サメ映画ネタくらいだったのに。
それで本編の方ですが、前作の主人公アデーがすでに死亡し、弟アドーが後を引き継いでいます。何の予備知識もなく観に行ったのでちょっと驚きました。アデー役の人が出演料1万ドル+歩合+α?などと無理な要求を突き付けてきたとのことで主役交代もやむなしか。まあ動ける人なら正直誰でもいいんですけどね。
ヒトラーは前作で死亡したので Windows95 搭載のロボ・ヒトラー、略してロボトラーと化しております。チーギロチン拳なる殺人技で画面をスプラッターなことにしてくれるナイスなロボです。ロボなのにガーナ大統領選に立候補してテレビの討論会に出席し、対立候補に「お前ロボだろ!」とツッコまれる。相変わらずのユニークすぎる絵面に思わず笑みがこぼれます。何ならこのままカンフー要素を廃してトンデモ選挙映画にしてほしかったくらいです。
そんな人知を超えたスーパーロボットには影蛇拳じゃ太刀打ちできない!それどころか取り巻きの相撲レスラーや金的破壊拳使いの女にさえ勝てない! ってことで新たな師匠を探し、新拳法をマスターしてリベンジに乗り出す…という流れは前作を踏襲していた印象。ただ今回はアドーに「ガーナのヴァンダム」と異名を取る相棒がおり、常に2人で行動する分ネタ拳法のおいしさも2倍のボリュームで大変お得になっています。でもさすがに家〇拳は反則にもほどがありますよね。思いついても普通実行できないよ!
とはいえ何の前触れもなくいきなりアマプラに出現した前作初見時ほどのインパクトはさすがにありませんでしたが、全身全霊で真面目に馬鹿なことをやっている美点は何も変わりない。今どきここまでわけのわからんふざけ方をしている映画はそう滅多に観られるものではありません。好事家は配信待ちなどとケチなことを言わず劇場で観るべきであると言っておきます。
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