「シャーク・イン・ザ・ダーク」 感想 外傷性視神経症 vs サメ

概要

原題:Blind Waters

製作:2023年アメリカ

発売:ニューセレクト

監督:アンソニー・C・フェランテ

出演:メーガン・カラスキージョ/ノアム・シグラー/フランシスコ・アンジェリーニ/ジェイ・キャッスルズ/マーティン・クーパー


リゾート地でクルージングとダイビングを楽しんでいたバレンティナとウェストン。ウェストンは海でサプライズプロポーズを企んでいたが、折悪しくそこにデカいサメが襲ってくる。そしてクルーザーは転覆し、頭を打ったバレンティナは視力が著しく落ちてしまい、絶体絶命の危機に陥る。


予告編

感想



「サメ映画に“失明”という新たなコンセプトを加えた」


というアンソニー・C・フェランテ監督・脚本の新作サメ映画。

タイトル的にはサメが失明してそうな気もするけど、人間の方です。

どうでもいいけどyoutubeで検索してもダンサーインザダークの予告ばかり出てくるから困る。



まあ本作の場合、失明まではしてなくて視力0.1くらい?に落ちてた程度でしたけど。新たなコンセプトというにはちょっと弱すぎるかなあ。海難事故で失明までしてたらサメいなくても助からないだろうから仕方ないのか。



「シャークネード」完結後はもうトンデモ路線はすっかりやめたのか、「シャークストーム」(この時は脚本のみ)に続いて今回も笑いどころ皆無の極めてシリアスなサメ映画になっています。ただ、シャークストームの監督は味噌バターコーン野郎だったのに対し、本作はフェランテ自身が監督しているとあってクオリティは格段に上と感じました。



普通に海に出た真人間カップルのドラマと成長を真っ当に描いて土台とし、そこに殺人犯というスパイスを放り込んで真っ当なサスペンス要素で調味し、さらに至極真っ当なサメがしっかり海を泳いで襲ってくる…



何かもうむしろ非常に斬新なサメ映画のように見えてくるから不思議です。こんなにも常識的なサメ映画は近年かなり少ない。サメのCGはアサイラムにしてもテキトーな部類だけど、それ以外の要素はものすごい真面目に撮ってますからね。脚本も手抜き感はなくまともに練られてるように思うし…このオチの切なさはなかなかそこらのサメ映画では出せない味わいですよ。アサイラムのサメ映画でそんなことしていいと思っているのか?と逆に難癖をつけたくなるほどちゃんとしている。



とはいえちゃんとしすぎているがゆえに、それほど印象には残らないという現実。もはや何か異常に飛び抜けたものがなければ、サメ映画界というレッドオーシャンでは人々の記憶に残れないと考えられます。しかしこれは私のようなサメ映画マニアの摩耗し歪んだ感性が悪いのであって、作品が悪いわけではございません。本当に申し訳ない。おそらく、ライトなサメ映画ファンであれば普通に楽しめるのではないかと思います。




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