「NOCEBO/ノセボ」 感想 マダニまみれ犬の悪夢

概要

原題:NOCEBO

製作:2022年アイルランド・イギリス・フィリピン・アメリカ

発売:クロックワークス

監督:ロルカン・フィネガン

出演:エヴァ・グリーン/マーク・ストロング/チャイ・フォナシエ/ビリー・ガズドン


ファッションデザイナーとして成功していたクリスティーンは、ある日マダニまみれの犬と遭遇し、マダニに喰いつかれてしまう。そのせいで体調を崩し、謎の幻覚や記憶喪失に悩まされるようになる。だがある時突然ダイアナと名乗るフィリピン人女性が現れ、住み込みの家政婦として雇うことに。ダイアナは呪術的な療法を施せばクリスティーンは救われると言うのだが…


予告編

感想



セレブなファッションデザイナーがダニまみれのきたねえ犬からマダニをもらったことから始まる世界初のマダニホラー映画(?)

U-NEXTで770円。



もちろんそんなふざけた映画ではなく至極シリアスな社会問題をテーマに練り込んだ真面目な作品なのですが、私は数年前に全く同じテーマを扱ったバカホラー映画を観たことがあり、序盤から何となく察してしまいました(※青字クリックで当該記事に飛びますが、そちらを観たことがある人だとネタバレになってしまうので注意)



なので本筋の謎めいたストーリー展開からのクライマックスにはさほど驚くこともなく…というか上のアレとモロかぶりしていることの方に驚きましたがね。アレの時点でも既視感はあったので陳腐と言えば陳腐ですが、目をそらしてはいけない現実でもありなかなか難しいところです。



しかし映像や演出に関してはかなりエッジが効いており、今まで観たことが無いアニマルパニックホラー的描写を楽しませてもらえました。



クリスティーンの娘がカナリアを飼っていて、それを見つめるダイアナの視線が不気味だったので鳥好きの私としては大きな不安を抱えながら鑑賞する羽目になったのですが、案の定カナリアはろくでもない目に遭ってしまいます。これは心が痛い。



ただ、呪術で何やかんやされたとはいえたった一羽のカナリアに襲われただけで旦那が病院送りにされてしまうくだりは笑ってしまいました。カナリア一羽でもアニマルパニックは成立する。これはトリビアになるかもしれませんね。



冒頭のきたない犬の描写も素晴らしい。マダニだらけの犬が勢いよく体ブルブルしてマダニを飛ばしまくる映像の悪夢的嫌悪感と来たら!!それだけでもマダニ嫌いにとってはさぶいぼものですが、後半で巨大化するマダニのキモさも相当えぐい。正直もう社会派的なテーマとかどうでもいいから純粋にマダニでパニックに陥るホラーが観たくなったほどです。山菜取りに行くとたまに服に付いてることがありますからね…幸い食い付かれたことは無いけど身近でリアルな恐怖を感じるんですよマダニには。



人の口から口へと移動するひな鳥の描写も非常に印象的。なぜあの謎パワーの根源がひな鳥なのか。そこに考察する余地がありそうですが、私は以前飼っていたセキセイインコもやたら私の口の中に入りたがる癖があったなあ…などと関係ないことばかり思い出してしまいました。まあ、何だかんだ本題よりも動物回りの描写の方がインパクトが強く、私的には実質的にアニマルパニック映画みたいなものとして非常に楽しめました。



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