「キラー・ナマケモノ」 感想 パーフェクト・プレデター

概要

原題:Slotherhouse

製作:2023年アメリカ・セルビア

配給:アルバトロス

監督:マシュー・グッドヒュー

出演:リサ・アンバラバナール/シドニー・クレイヴン/オリビア・ルーリエ/アンドリュー・ホートン/ビアンカ・ベックルズ=ローズ


地味な女子大生のエミリーは、ショッピングモールで出会った怪しい男から密輸入したペットのナマケモノを手に入れる。女子寮に持ち帰ったナマケモノは”アルファ”と名付けられ人気を博し、エミリーはそれを利用して女子学生クラブの会長選に立候補。だが、アルファの正体はジャングルで巨大ワニを屠るほどの殺傷能力を持ち、人間のSNSを使いこなす脅威のキラー・ナマケモノであった…


予告編

感想



驚異的な身体能力と知能を持つナマケモノをマスコットにしてしまった大学女子寮で起こる惨劇を描いたアニマルパニック・ホラー・コメディ。



アニマルパニック大好きで、特に草食動物が襲ってくる珍品を探し求めている私からすればマツタケのようにレアでおいしい題材ですが、さすがにゴールデンウィークに全国規模でロードショーを決める映画とは思えません。案の定、劇場自体はコナンやゴリラなどを見ようと観客が殺到し激混みなのに、本作のスクリーンはガラガラ。別に悲しいわけでも予想外でもなく、至極当たり前の光景です。



中身の方によっぽど自信があるのかな?と思ったら普通に出来の悪いクソ映画で微笑。せっかくのマツタケなのにチョコレートフォンデュの具に使われたかの如き。平時でもこんなしょうもないの全国ロードショーする会社なんてそうはないですよ。全くアルバトロスのこのいかれた蛮勇ぶりには尊敬の念を禁じ得ない。



まずストーリーの本筋が「大学女子寮の会長選」っていうのがいまいち乗れませんでした。マスコットとしてナマケモノを飼うことで選挙で有利に…という導入のきっかけとしては全然アリなんですがね。ナマケモノが学生を次々殺していくくだりがなぜかダイジェストでサクサク流されるのが痛すぎた。そこは一番力を入れるべきポイントじゃあないのかと。もう選挙どころではないだろという人数が殺処分されてもまだ選挙は重要なイベントのままだし。



キャラクターが登場するたびにまるでスカウターで戦闘力を測るかのようにSNSのフォロワー数が表示される演出を見るに、現代人の承認欲求の強さが行き過ぎて野生動物に迷惑をかけるまでになっていることを批判する社会的メッセージ的なやつのようです。しかし、ナマケモノがスポーツカーを運転してパトカーに追われるような映画にそんなもんが必要か?



まあそれはそうと、キラー・ナマケモノ自体はCGではなく人形であり、なかなかカワイイです。そこは確かにアニマルパニック界のニュー・アイドルといった風格。ただ、ナマケモノってかなりきたないイメージがあるので女子大生が抱っこしてキャッキャしているのはいかがなものかと思うんですよ。



なんせ普段樹上で暮らすナマケモノは排便する時だけ天敵に襲われる危険を冒してまで木の根元に降りるのですが、その目的が共生している蛾(ナマケモノガ)に栄養を与えるためですからね。ナマケモノは自分の身体に生えたコケを喰って生きており、そのコケを育てるために体毛の中に蛾が寄生しているとか。すごい仕組みだなーと感心はするけど、抱っこは固くお断りしたいですね。




コメント