「タイ・ファイター」 感想 最強のバケモノ汚職警官

概要

原題:Thai Fighter/The Microchip

製作:2011年タイ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:クリサナポン・ラチャタ

出演:サイモン・クック/ポーンウィパ・ワチャラカルーン/サッチャイ・ユカチェン


中華料理屋のウェイターとして働くジョンは、ある日個室で一人の男がギャングたちを素手で皆殺しにする事件に巻き込まれそうになる。その際、ジョンはギャングのボスに渡されたメモリーカードを持って逃走。親友3人に協力してもらい、事態の解決を図ろうとする。だが、その男は化け物じみた力と執念でジョンたちを追ってくるのだった。


予告編

感想



今月からアマプラ配信の新作アクション系謎映画。

タイ製ですが2011年と実際の製作年度はこれもかなり古め。



邦題とサムネからすると、ムエタイファイター同士の戦いを描いているのではないかと想像して鑑賞したのですが、全然違いました。



汚職警官の犯罪に巻き込まれて追われる羽目になるジョンたち主人公4人組は、別にムエタイファイターでも何でもなく単なる一般人。かろうじて女装家の男娼だけは武術の心得がある感じ。



私はタイの男は全員もれなくムエタイを修業していると思っていたので、これはちょっと意外でした。ジョンたちは貧乏すぎて小さい頃は物乞いをしていたと語っていたので義務教育(ムエタイ)どころではなかったのでしょうか。



それはそれとして話の内容はひどく面白くないです。序盤から視点がすぐあっちこっちに飛ぶから誰が主役で何が本筋なのか無駄につかみにくい。そもそもギャングに渡された怪しいマイクロチップをなぜさっさと警察署なり汚職警官なりに渡さず、あそこまで頑なに守り通そうとするのかが全く分からない。中身も見てないのに。



また、フリーハンドで撮影しているのか何でもないシーンでも常にカメラが揺れているため何となく不愉快です。格闘アクションは悪くないものの、あまりキレはないしやっぱりカメラの揺れが気になって何かもったいない感じ。



ということで前半は「ハズレだな、この謎映画も…」と諦めておりました。



しかし中盤、ジョンたちが乗るタクシーが汚職刑事の拳銃一発でド派手に吹っ飛んでいってひっくり返るシーンが不意打ちすぎて大笑い。一体どんな無茶な威力の拳銃ならそんな芸当が可能なのか。



そこからのジョンたちと汚職警官の泥沼すぎる熱戦もかなりすごい。私の好きな「全身全霊での殺し合い」と言っても良い迫力があり、見応え充分です。それもジョンたちはあくまで一般人レベルの戦闘力しかないのに対し、汚職警官は地獄のマッドコップより強いのでムエタイアクション映画ではなくクリーチャーホラーの文法で作られているようにすら見えます。



先に戦っていた友人2名を黙って見殺しにしちゃう展開はかなり意味不明なものの、あれだけ長い事闘っていたにも関わらず勝てそうな瞬間が全く無いという絶望感は良かったですね。それだけに決着は少々都合の良い出来事が起きてしまいますが、終わり方を見てもやはりクリーチャーホラー的なノリなのでそれもありかなと思いました。



「タイ・ファイター」(Amazon Prime Video)



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