「アウト・オブ・リーチ 愛と洗脳の狭間」 感想 人類の敵、悪徳コンサルタント

概要

原題:Out of Reach

製作:2013年アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:ジョージ・アーシュベイマー

出演:エリン・カープラック/ロックリン・マンロー/ジェイミー・ルナー


広告会社の経営者であるマシューは心臓を病んでから業績不振に悩んでいた。そんな折、マシューの不安につけこんで怪しいコンサルタントが接触を図ってくる。マシューの言動に不穏なものを感じた妻のリンは夫の会社に乗り込むことに。だが、マシューはすでに洗脳され事業の半分を譲渡しようとしていた…


予告編


予告編、なし!


感想


DAROの新作テレビサスペンス。

アマプラ299円。



業績不振に悩む経営者の弱みにつけこんで食い物にしようとするオカルト系悪徳コンサルタントの恐怖を描いたサイコサスペンス。この監督の過去作がクソ映画ばっかりだったので期待してませんでしたが、これは面白かったです。



あくまで私の見知った範囲でですが、コンサルタントという人種には本当にろくな奴がいませんでした。人の商売に対して分かったような顔で偉そうに見当違いなハッタリアドバイスをかますだけでごっそり大金を持っていくのだからたまらない。私自身もひどい目に遭って会社人生を大きく狂わされましたし、知人の料理屋も月々50万円もボラれながら何の効果もなかったとこぼしていました。



本作のコンサルはさらに悪質なことにカルト宗教団体も兼ねており、波動がどうの回路がどうのとスピリチュアルな方面からも攻めてきます。それでいて「我々はマイクロソフト、アップル、グーグルにも指導してきた」などと大ボラを吹いてしまう。端的に言って火炎放射器で燃やし尽くすべき寄生虫です。



そんなカス共の戯言を信じる方もどうかしている…とは思わなくもないけど、病気と経営不振でワラにもすがりたい人はそんなんでも騙されてしまうものかもしれません。次第にそちらに傾倒していく夫を必死で止めようとする妻の姿は非常に痛々しいものが感じられました。



なんせ序盤の団欒シーンでは親子3人で「ビーチ・シャーク」を観て感想を話し合ってましたからね。一家そろってまさかのクソサメ映画鑑賞会。なんという心温まる光景なのか。こんな素晴らしく愛すべき家族には感情移入せざるを得ない。


母「今まで見た中で最悪の映画だったわ」


娘「でも面白い要素もあったしセリフは最高だった」

娘「エフェクトはひどかった」


…と、どちらの感想にも強く共感できてしまうっていうね。本作の脚本家は「ビーチ・シャーク」大好きのクソサメ映画マニアに違いない。



こういう家族にはハッピーなエンディングを迎えてほしい…とは思うものの、マシューの強固な洗脳を解除するのは難しく、クライマックスでは絶望感すら漂います。ただオチは何だか唐突な感じがして少し戸惑いましたが、DAROのテレビ映画としては充分楽しめる作品でした。



「アウト・オブ・リーチ 愛と洗脳の狭間」(Amazon Prime Video)


「ビーチ・シャーク」(Amazon Prime Video)


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