「アビリティ 特殊能力を得た男」 感想 文化系能力者たちの苦悩

概要

原題:DOE

製作:2018年アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:ジャスティン・フォイア

出演:ティモシー・デイヴィス/タチアナ・アリ/マシュー・セント・パトリック


8年前、一切の記憶を失くし公園で目覚めた男ジョン。彼はなぜか37か国語を流暢に話すことができ、それを生かして大学教授となり愛する妻子と共に暮らしていた。だがある日、「自分も8年前に記憶を失くし、天才的な数学の能力を得た」と語る男ルーカスが訪ねてくる。


予告編

感想



アマプラ有料配信中(\299)のSFスリラー。


記憶がなく自分の本名も正体も分からず、その代わりに超人的な特殊能力を持っている男ジョンが、他にも同じような人間がいると知って事の真相を調べ始めたら怪しい組織にたどり着く…という、ちょっとアメコミヒーローものみたいな感じのストーリー。



ただ、その特殊能力が「37か国語を話せる」とか「スーパーコンピューター並みの計算ができる」とか「絵がめっちゃうまい」とか「色んな楽器が演奏できる」とか軒並み平和的な文化系で、それも作中大して活かされる場面もないため相当地味な話になっています。



それでも彼らは天才的な能力を持っていることに変わりはないので、全員が集まれば力を合わせてすごいことができるのでは!?文化系ヒーローが謎の組織と戦うなんてむしろ斬新なのでは!?というワクワク感がないこともないです。謎の提示の仕方は魅力的だし、風呂敷の広げ方は上手いと思うんですよ。久しぶりにアマプラ謎映画で大当たりを引き当てたか!?と胸を躍らせてしまいましたよ。序盤は。



しかしどうも話が進むにつれて雰囲気はひどく重苦しくなる一方で、娯楽サスペンス的な謎もスリルも非常に薄味になってきます。ああそのパターンですか…っていう。キリスト教的な「贖罪」を主題にしているのかなと思いましたが、ジョンの苦悩する顔がとにかく深刻で陰気臭くて気が滅入ります。テンポもあまりよろしくなく、首謀者の組織に乗り込む頃には残り13分しかないし、特に戦いがあるわけでもなく話を聞くだけでオワリ。面白くなりそうでなかなかならないまま、ありきたりな着地点に落ち着いてしまったという印象。



とはいえ、アマプラ謎映画の中では充分楽しめる品質の作品ではあると思います。



「アビリティ 特殊能力を得た男」(Amazon Prime Video)



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