「ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ」 感想 お前の両親アッパーミドル

概要

原題:Bodies Bodies Bodies

製作:2022年アメリカ

配信:ソニー・ピクチャーズ

監督:ハリナ・ライン

出演:アマンドラ・ステンバーグ/マリア・バカローヴァ/ピート・デヴィッドソン/レイチェル・セノット


金持ちの別荘に集まり、パーティに興じていた7人の若者たち。その夜、嵐がやってきて外界と遮断されてしまう中、”BODIES BODIES BODIES”という人狼ゲーム的な遊びを始める。だが遊びはいつしか罵り合いに発展し、死人が出てしまう事態に。殺人犯は誰なのか。若者たちは、お互いを疑ううちに一人また一人と命を落としてゆく。


予告編

感想



A24のお笑いサスペンス・スリラー。

向こうでは評判も高いようなのにこちらでは劇場公開どころかDVDも出ず配信スルー。

とはいえこれはかなり面白かったです。



嵐の別荘に隔離された富裕層の若者たちが一人ずつ殺されていく。犯人はこの中にいるのか、それとも嵐の前に離脱した友人なのか?

最初は殺人鬼ホラーかと思って見てたんですが、フーダニットミステリーでした。



クローズドサークルものの推理小説は星の数ほどあるので、本作と同じようなネタを使った作品もどっかで見たことがあるような気はしました。が、枠組みはクラシックでも本作のテーマは「Z世代」なのでその点では現代的で目新しく、文字ではなく映像で表現される方が合っています。



オチのインパクトで全てを持って行くタイプの映画なので、若者が醜く揉めまくって死んでいく途中経過は薄っぺらくてそんなに面白いわけではない。


「私はこんなにポッドキャスト頑張ってるのにあなたは裏ではバカにしてたの!!」


なんてどうでも良すぎるというかポッドキャストって何だっけ?…なんですが、それも多分わざとなんでしょうね。スマホ、SNSで表面上だけは仲良く繋がっているZ世代の薄っぺらさを皮肉っている。ま、私にはその世代の知り合いなんていないし全員がそうだと言うつもりもありませんが。



ただ、本作に出てくる若者はみなボンボンなのでまあ別にコケにしてもいいかもしれません。中盤、ひとりが実はそんなに富裕層の子でもないと暴露された時の


「お前の両親アッパーミドルクラス~!!」


という罵倒文句(?)には笑ってしまいました。生きるか死ぬかって時に何を言ってるのかと。つーかこっちから見ればアッパーミドルでも充分うらやましいってのにそれが罵倒になるのかよと。こっちはいつまで経ってもマス層なんすよ。私など彼らから見たらゴミ以下ってことですね。



そうやってくだらないことで争い、しょうもないマウントを取り合い、キーキーわめきながらケンカする女の子たちを眺めるのもまあまあ楽しめますが、そんなことよりオチの破壊力がとにかく凄まじいです。あの遺留品が出てきた瞬間に「こいつ…まさか!?」と察しは付くものの、実際にそれを見せられると吹き出さずにはいられない。しかも昨今の日本の社会情勢ともぴったりマッチしているっていう。「それはねえよ!(笑)」とも言い切れない現代社会の恐ろしさよ。この点はどこの国も一緒なんですねえ。



「ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ」(Amazon Prime Video)



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