「ロスト・アイズ」 感想 誰にも見えない

概要

原題:Julia’s Eyes

製作:2010年スペイン

発売:松竹

監督:ギリェム・モラレス

出演:ベレン・ルエダ/ルイス・オマール


フリアとその双子の姉サラは先天性の疾患でだんだん視力を失いつつあった。ある日、サラは首吊り自殺をしてしまうが、その死に不審な印象を抱いたフリアは独自に姉について調べ始める。


予告編

感想





2010年のスペイン製サスペンス・スリラー。

勝手に心霊モノかと思ってたら全然違った。

病気で視力を失いつつある女性が姉の死の真相を探るうちに怪しい男の存在に気が付く話。



出来は非常に良く、普段からクソ映画を浴びるように観ている人間からすると「117分ってこんなに早く感じるものなんだ…」とちょっと感動してしまうくらい面白いです。主人公フリアは中盤で目の手術に踏み切り、しばらく視力がない状態で過ごすのですが、その間の犯人との攻防は非常にエキサイティング(大人しく入院しとけよというつっこみはともかく)。




(以下ややネタバレあり)




見えていない間は人の顔を映さない演出だったり、怪しい人物の出し方や突然の死など、ミスリードやスリルの煽り方が冴えに冴えています。テーマ的にもそれまでは「見えない怖さ」を描いていたのに、視力が戻った途端に一転して「見えない方がましかも」な恐ろしい状況を創り出すやり方は本当にうまいもんだなあと思います。



そんな本作で最も印象的なのは犯人の動機です。なんでわざわざ盲人だけを付け狙うのか、視力を奪おうとするのか、そのユニークな理由付けが面白い。盲人なしには自分は存在できない。最初はそんな無茶なと思いましたが、本人がそう信じ込んでいるのなら仕方ありません。どっかのセクシー軍曹ほどの魔球ではないにしろ、よくこんな奇怪な歪み方をしたサイコ野郎を思いつくもんだなあと感服するばかりです。



映像的にはストロボを効果的に使用したクライマックスの攻防が…と言いたいところですが、やっぱり目ん玉に注射針ブスリの場面がエグくて素晴らしい。こんなストレートな眼球スプラッタはサンゲリア以来かも。といってもまあ注射なので眼科でも日々そんな光景が繰り広げられているんだろうし、別に眼球そのものの破壊が目的ではないのですが、相当厭な不快感を味わえます。…しかしフィクションだからそれも楽しめるけど、間違ってもリアルに目に注射されるようなことがないよう目は大事にしなければいけません。今回はそんな風に思いました。


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