「フィアー 新感染山」 感想 ゾンビより大事なもの

概要

原題:F.E.A.R.

製作:2021年アメリカ

発売:プルーク

監督:ジェフ・ライスナー/ジェイソン・トバイアス

出演:マーシ・ミラー/ジェイソン・トバイアス/ダニー・ルイズ/セセ・ケリー/スーザン・ムーア・ハーモン


感染すると走るゾンビになってしまう奇病が流行。軍は高い壁を築き、感染者を封じ込めようとしていた。壁の内側では生存者同士の争いも絶えない中、ジョーとその家族は山奥の廃屋に隠れ住んでいた。だが、ジョーたちに恨みを持つ姉弟が襲撃してくる。


予告編

感想




ゾンビ映画かと思ったらゾンビの出番は最初と最後にちょろっとあるだけで、ほぼほぼ人間同士の争いを描いた作品。まるでサメ映画みたいなゾンビ映画ですなあ。



ゾンビがうようよしている設定なんだから素直にゾンビとの戦いを描けばいいじゃん…サメと違ってローコストで大量出演させられるだろ…と素人的には思ってしまいますが、製作者的にはゾンビなんかどうでもよくて極限パンデミック状況下での家族愛のドラマをやりたかったようです。



私はそういうのあんまり好きじゃないんで微妙でしたが、こんな邦題がついてる割りにはクオリティはそれなりに悪くない方じゃないかと思います。愛する者を手にかけなければならないとか、感染してもうたから別れなければならないとか。悲哀に満ちたシーンが多く、合間合間で幸せだった頃の回想を挟んでくるので、それなりに涙をカツアゲでき得る作品かもしれません。私はそんなもん出しませんがね。



ただ人間同士の争いとしても人数が少なすぎるせいか泥沼な感じ。せっかく相手を拘束したのにウダウダ押し問答して近づきすぎたり、下卑た笑みを浮かべながらダラダラ痛めつけたりしているうちに逆転される流れが重なって起こるのでなんかもどかしい。この映画に限らず似た状況を見ていつも思うんだけど、たとえすぐに殺せない理由があったとしても、それ以前にまず指とか足首を折っておけばそうそう逆転されることもないと思うんですよね。とりあえず敵の反撃能力は奪えと。



また、身を守るためには銃が必要不可欠である…という主張がそこはかとなく漂っており、クライマックスでは幼い少年がかっこよくライフルでゾンビを仕留めることで「家族を守れるようになったんだ」風な演出。数年前までならそんなに違和感なく流してたと思うけど、アメリカの小学校で6歳児が銃を持ち込んで発砲したとかその手のあり得ないニュースがあふれる昨今の社会情勢がよぎって結構微妙な気分になります。あそこはライフルじゃなくてパチンコでも良かったと思う。まあ「敵を拘束したらまずは指や手足を折れ」などと抜かしてる人間がそんな道徳観を気にするのも変な話かもしれませんが。



「フィアー 新感染山」(Amazon Prime Video)


コメント

匿名 さんのコメント…
私は『死霊のえじき』をナウい渋谷の映画館で観た子供世代で、
音楽も好きなあれで郷愁に浸れる人間なので、そこはまあ良いんですが、
女子供だけ都合よく生き残れるのはホントつまんねーなって思いました
悪ガキやイケメンが脱落していく『ブロブ』を見習え

ゲームでポリッとケチつけるおばさんが、おっさんが少女を助ける筋の
「Last of US」って名作に対して「男が女を守るテンプレゆるせねえ」とか
文句言ってきて、続編を滅茶苦茶にされたりしてるんですけど、
こういうおっさんだけワリ食う見飽きたパターンは文句言わないんだろうな

どうでもいいですけど、同じ映画館で翌年にラピュタやってて、
昔の映画館は入れ替えがなくて朝から最終までいられたんで、
夏場なんかは最前で渋谷のホームレスがグーグー寝てたりしました
岩石入道 さんの投稿…
>2024年2月4日 13:32の匿名さん

死霊のえじきって誰でも知ってる巨匠の有名作なわりに
実は観てないんですよね。
一応DVDはだいぶ前に買って持ってるんですが積んだまま。
まあ、こういう名作スルーはクソ映画マニアあるあるですね。
というかゾンビ映画自体あまり観たくならないからなー…
ラストオブアスも大層おもろいと評判は気になったものの結局観てないし。