「アクセル・フォール」 感想 エレベーター拷問で覚醒する自然の申し子

概要

原題:Rising Wolf

製作:2021年オーストラリア

発売:AMGエンタテインメント

監督:アンティーン・ファーロング

出演:シャーロット・ベスト/ジョニー・パスボルスキー/アンドリュー・ジャック/スーザン・プライアー


上海で何者かに誘拐されたアリアは、目覚めると高層ビルのエレベーターに監禁されていた。眼前のモニターには父親がロシア人に拷問されている様子が映っており、アリア自身は激しく昇降するエレベーターに苦しめられる。ロシア人は「エンジニア」なる人物の情報を吐けと迫るが…


予告編

感想



未体験ゾーン2022上映作品。


高層ビルのエレベーターに監禁された女性が「繰り返される急降下」に苦しめられるワンシチュエーション・スリラー!…という宣伝がなされており、何とも好事家の興味を惹きつけるかぐわしい珍作スメルを放つ逸品でした。ワンシチュ系のアイデアなんかもう出尽くしたと思ってたのに、まだこんな刺激的なネタが出てくるとは。



…で、見てみた結果、これ…確かに珍作は珍作なんだけど、こういう方向性の珍作だとは全く予想もしてませんでした。なんか思ってたのと全然違う。ドクターペッパーかと思って飲んだらルートビアだったぐらいのガッカリ感。アホっぽい体勢をとってるジャケ絵の女も本編とは別人だし、煽り文句も例によって詐欺臭さが漂う。いや、確かにエレベーター拷問は嫌っていうほどお腹いっぱい拝ませてもらえるんだけども…その効果があんまり定かではない。




以下ネタバレあり




というのも、エレベーター拷問をされる主人公アリアが何らかの特殊能力者っていう設定があるんですよね。エレベーターが急降下するたびに過去回想が入るのですが、アリアの双子の姉妹ザラが物質を粉末化したり元に戻したりとよくわからん超能力を発動しては父親に「自然の申し子だというのか!」などと驚かれたりしている。何それ。まあ自然の申し子とやらはアリアではなく双子のザラの方ではありますが、双子なんだしアリアの方も常人ではなかろうと予想はつきます。



それもあるし、アリアは高さ500mもあるエレベーターの急降下で天井や床にあれだけビッタンビッタン叩きつけられても大したダメージを受けていない時点で超人確定です。アリアやその父親を拷問するロシア人の目的である「エンジニア」とやらも一体何なのかいまいちはっきりしないし、この映画がどこを目指しているのか、何を見せたいのかがなかなか明確にならない。ワンシチュ系なので視覚的には至極単調、なのにストーリーは激しく迷走しているようで、なおかつ尺が100分超もあってけっこうつらいです。



クライマックスの絵面は笑いを取りに来てるとしか思えないし、これから重厚長大なSFファンタジー巨編が開幕するのだ!…とでも言いたげなラストには開いた口がふさがりません。エレベーターで拷問するバカ映画のはずだったのに、どうしていつの間にこんなことに? 普通のスリラー風味でも充分珍作になれる素材だったのに、明後日の方向にカッ飛んでいってしまった。超能力ものとしてもフワッとしすぎで「自然の申し子」ってのが何なのか一切分からんのはいかがなものかと思うんですよ。まあ、それは続編で…ということならあまり期待せずに待ちますが。


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