「JOLT/ジョルト」 感想 ここは穏便に暴力で

概要

原題:Jolt

製作:2021年アメリカ

配信:アマゾンプライムビデオ

監督:ターニャ・ウェクスラー

出演:ケイト・ベッキンセイル/ジェイ・コートニー/スタンリー・トゥッチ


些細なことですぐにブチ切れ暴れてしまう狂暴な女リンディ。彼女は自らに電気ショックを与えることで怒りを抑え、何とか日常生活を送っていた。だがある時、初めて出来た彼氏が殺害されてしまう。犯人は裏社会の大物だったが、リンディは怒りを解放し単身で敵討ちに乗り出す。


予告編

感想



謎映画ではないちゃんとしたアマゾンオリジナル作品。



尋常ではない暴力衝動を抱えた女リンディが、キレそうになるたびセルフ電気ショックをかまして何とか自分を制御しているという珍妙な設定の話。序盤で感じの悪いウェイトレスをボコったり、電車で居合わせたマナーの悪い男を叩いたりするあたりは面白くなりそうだったけど、後から思うとそこらへんがピークだったかなと。こういうバカバカしいのは私好みのはずなのに、どうもいまいち乗れませんでした。



その序盤のノリのまま、たとえば「フォーリング・ダウン」のD-フェンスのように、その辺で出会った気に喰わない奴を手あたり次第ボコって歩くコメディだったら気に入ったかもしれません。どうも「恋人の仇を討つ」っていう流れに入ってしまうと、「キレやすいのを無理に抑えてる」という独自設定が活きてこなくて単なるありきたりなリベンジアクションになってしまったように感じました。



そういうジャンル物として観てもディテールは実にいい加減だし、悪党の描き方もあまりに紋切り型すぎて冷める。単にリンディが大男に金的蹴りをぶち込むところをボンヤリ眺めてグハハと笑っていればいいだけのジャンクフード的な映画だと思っても、その暴れ方が全然物足りない。リンディはそんなに言うほど強くはないようで、何度も失神しては捕まってるので殺されないのがご都合主義的でまた冷めてきます。クライマックスでアクションらしいことをしてたのはザコ3人組を蹴散らした程度だし、それも顔が全然映ってなくて露骨にボディダブルくさい。黒幕はただでさえバレバレのうえに爆弾渡してあっさり終了なので何の盛り上がりも爽快感もない。



こういうのはヴァンダムとかマイケル・J・ホワイトのように、強さにそれなりに説得力のある人が暴れるから爽快なのであって、アラフィフのケイト・ベッキンセイルではちょっと難しいのではないかと。まあやりたいのは「強い女モノ」で50近いのにあの美貌、ってところの需要を掴みたかったんでしょうけども。



…というか、普通にこの人を愛でるための映画だったか。こんな感想書いてたらベッキンセイルファンに怒られますね。大変申し訳ございません。私も本作を観ている間はかなり虚無的な気分になっていたのですが、彼女の見た目だけは本当に若いなあと感心しきりでした。IQは152もあるらしいしスゴイ人には違いないと思います。


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