「アサルト33:要塞病棟」 感想 超豪華キャストによるC級ダイハード

概要

原題:Assault on VA-33

製作:2021年アメリカ

発売:アルバトロス

監督:クリストファー・レイ

出演:ショーン・パトリック・フラナリー/マーク・ダカスコス/マイケル・ジェイ・ホワイト/ ウェストン・ケイジ・コッポラ/ロブ・ヴァン・ダム/アビゲイル・ホーク/ジーナ・ホールデン


PTSD治療のため、退役軍人病院を訪れていた元軍人のジェイソン。だがその日、同じく治療にやってきた軍の幹部を狙ってテロリストが病院を襲撃、占拠してしまう。テロリストの目から逃れたジェイソンは巻き込まれた妻を救うため、単身で立ち向かうが。


予告編

感想





なんかものすごい今さらの「アサルト13:要塞警察」のパチモン風アクション映画。


「アサルト13~」は15年ぐらい前に木曜洋画劇場かなんかで一度観たっきりでほとんど記憶に残ってないんですが、そのリメイク元であるジョン・カーペンターの「要塞警察」はオールタイムベスト10に入れたいくらい好きな映画です。なので本作にもそこそこ期待はしていました。



それに出演者が異様に豪華ですからね。

ショーン・パトリック・フラナリー、マーク・ダカスコス、マイケル・ジェイ・ホワイトと実力も人気も知名度もバッチリのスーパースターを3人も揃えて来てるし、それに加えてニコラス・ケイジの息子が敵の親玉役、そのうえジャン=クロード・ヴァンダム……のそっくりさんのロブ・ヴァンダムまで出ているからアクション映画ファンにはたまらない。



ただ…



ただ…監督がクソ映画の達人クリストファー・レイであることだけが唯一最大の懸念点でした。この人の最高傑作はたぶん「トリプルヘッド・ジョーズ」だからなあ…



内容的には、テロリストに占拠された病院を舞台に主人公が単身で必死の抵抗を試みる、ってことで誰がどう見ても「要塞警察」というより「ダイ・ハード」的な趣きを狙った閉鎖空間系アクション映画になっています。



何だか舞台となる病院の建物がえらく安っぽくて狭そうだとか、主人公の通報を全く聞き入れない警察署長やら、病院で銃撃やら爆発やらヘリが墜落して爆発炎上しても全く気付かない超絶鈍感な主人公の娘だのと恐ろしくツッコミどころ満載ではあります。しかしまあ、私はそんなことより超豪華キャストによる血沸き肉躍るアクションさえ充実していれば満足なんだ!というスタンスで鑑賞に臨んでいるわけです。



が、そういう目で見ても始めの1時間ぐらいはほぼアクションを何もしてないのが痛すぎる。別に退屈っていうほどつまらなくはないし、クリストファー・レイ監督にしてはめちゃくちゃイケてる方じゃん!とは思いますが、これだけの豪華キャストを揃えて置いて全く動かさないとは実にもったいないという他ない。



終盤でようやくショーン・パトリック・フラナリーとマーク・ダカスコスによる一騎打ちが行われ、そこはなかなかの見応えがあります。ほんのちょっとだけ「エクスペンダブルズ」を観ているような気分になれました。決着の付き方が身も蓋もなさすぎたけど。しかし監督が監督なのでもうこの対決が見られただけでも満足せねばなりますまい。「シャーク・ウィーク」の監督が撮ったと思えば奇跡的なほど素晴らしい格闘シーンでしたよ。



…ということで、総合的に見てそんなに悪くはないC級アクション映画です。「トリプルヘッド・ジョーズ」よりはたぶん面白かったので本作がクリストファー・レイ監督の最高傑作になったと言ってもいいのではないかと思います。



見せ場がないわけじゃないけど全然何も運動しなかったマイケル・ジェイ・ホワイトにはかなりの肩透かしを食らったし、ロブ・ヴァンダムに至っては車の運転席に座りっぱなしで一度も立たないという驚異の省エネっぷりでしたが、まあ皆さんいい年ですからね。あんまり動きたくもないのでしょう。

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