「便座・オブ・ザ・デッド」 感想 汚物と愛のコントラストが際立つ

概要

原題:STALLED

製作:2013年イギリス

発売:プルーク

監督:クリスチャン・ジェームズ

出演:ダン・パルマー/アントニア・バーナス/タマリン・ペイン/マーク・ホールデン


クリスマスイブの夜、パーティが催される社内で一人寂しく女子トイレにやってきた修理工の男WC。作業中に女子2人が入って来たので慌てて個室に隠れると、いきなりゾンビ化した女子がもう一人に噛み付く。それを皮切りに女子トイレには次々とゾンビがなだれ込み、脱出不能のゾンビ地獄と化してしまう…


予告編

感想





舞台がほぼトイレの中だけで展開するワンシチュエーション的なゾンビ映画。それにしても何というキワモノ臭漂う邦題でしょうか。「トイレ」でも「便所」でも「便器」でもなく「便座」を採用してしまうワードチョイスにプルークの卓越した邦題センスを感じざるを得ない。しかし、いかに優れた邦題とはいえ日本の配給会社が8年間も無視し続けてきた2013年のイギリス製低予算映画が面白いなんてことがあり得るのか。



内容は、クリスマスイブの夜に女子トイレの修理にやってきた冴えない修理工の男WC(人名)がゾンビの群れに襲われるという話。基本個室に立てこもってあがいてのたうち回ったりする映画なので色々とバッチイ。英国紳士の下ネタ魂が爆発しているようなかぐわしい作品です。個室に侵入って来たゾンビのアタマを便器のフタで叩き潰したり、その血まみれになった便器に落ちた携帯を拾って別の便器の水で洗って使ったりと序盤から飛ばしまくってくれます。



しかし本作、単にトイレにゾンビが押し寄せてウワーキタネーだけで終わっちゃうようなゲテモノジャンク映画ではありません。恐ろしいことにこんなド汚いシチュエーションでありながら、その核となるドラマ部分は非常に切ないラブストーリーとなっているのです。この血と汚物にまみれたトイレの中でこんな感動的な純愛を見せてもらえるとは想像の斜め上すぎました。考えた奴ひねくれすぎじゃないのか。終盤でエレベーターの扉に描かれた絵なんか下手するとこちらの涙腺を刺激すらしてきます。「便座・オブ・ザ・デッド」なんて臭そうなタイトルのくせにそんな生意気なことしていいと思ってるのか…



これはもうあえて「3回泣けます!」とか頭の膿んだような宣伝して世の恋愛脳たちを釣りまくり、日本全国の劇場で大々的に公開すべき純愛ゾンビ映画であると言っても過言ではないんじゃないでしょうか。というのは冗談としても、てっきり「ハウスシャーク」的なキワモノだとばかり思い込んでいたのでこの真っ当な面白さには度肝を抜かれました。イギリス製ゾンビ映画としては「ショーン・オブ・ザ・デッド」に次ぐ良い作品だったと思います。


コメント

異質な匿名さん さんのコメント…
実に面白そうなので見たいんですがどこでも配信やってない~~
DVDだけかしら……さすがに購入までは戸惑うw
岩石入道 さんの投稿…
> 異質な匿名さん

あれ?アマプラとかU-NEXTでも有料配信はしてますよ。
間違えて「便器・オブ・ザ・デッド」とかで検索してません?