「ゾンビボーダーランド ~めざせ!アンデッドのいない国境地帯へ~」 感想 

概要

原題:Posljednji Srbin u Hrvatskoj

製作:2019年クロアチア・セルビア

発売:プルーク

監督:プレドラグ・リチナ

出演:クレシミル・ミキッチ/フリスティーナ・ポポヴィッチ/ティハナ・ラゾヴィッチ/ダド・チョーシッチ


クロアチアが破綻してから7年後、突然人々がゾンビになり暴れ始める。噛まれたのになぜかゾンビ化を免れたモティカは、病院で出会った謎のビジネスウーマンや国民的女優、ゾンビハーフの青年と共に国境地帯を目指すが…

予告編

感想




「ゾンビランド」パチモン風のクロアチア・セルビア製ゾンビコメディ。

ゾンビランドに倣ってゾンビルールが3つほど提唱されています。



1. ゾンビ20分ルール:奴らに噛まれたら20分待て。時間が来てもゾンビにならなければセーフ

2. ゾンビハーフルール:ゾンビになってもあきらめるな!ときどき人間に戻る時がある。

3.ゾンビカクテルルール:ゾンビの血清はお酒にセルビア人の血を混ぜて作れ!



「ゾンビ・ルールはこのように進化している!」

…とか言われても、これこの映画でしか通用しないルールじゃないですかね。

もう3番でほぼネタバレされてしまっているので書いちゃいますが、セルビア人だと噛まれてもゾンビ化しないという設定。いや、「クロアチアに住んでるセルビア人」なのかな。いまいちピンとこないけど多分その辺のニュアンスも重要なんでしょう。で、そのゾンビウイルスは何者かが意図的にバラまいている。これは民族浄化の臭いがしてきますね。



クロアチア人とセルビア人の民族対立ネタの風刺映画はたま~に目にしますが(「グリーン・ヘル」とか)、大体暗くて陰惨なのが多い印象なので明るいゾンビコメディ仕立てというのは珍しい。ゾンビ映画としてのクオリティもそこそこ高めですし、キャラクターも癖が強くていい。お国柄の目新しさだけでも結構楽しめました。



とはいえ私は正直バルカン半島の国際事情には全く明るくなく、90年代のボスニア紛争とかで猛烈に残虐な民族浄化の嵐が吹き荒れていたという程度の認識しかないので特に笑うことはできませんでした。あれだけ悲惨な殺し合いをしていた民族同士だし今でも憎み合っているんでしょうけど、そんなセンシティブ極まりない風刺を見せられても部外者がこれをどう笑っていいものかよく分かりません。当事者の内輪ネタ要素が強すぎてバルカン半島出身者以外にはちょっと通じにくい作品なんじゃないかと。まあそれだけではなくてワンダーウーマン的なスーパーヒーロー映画を嘲笑している風もありましたが。

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