「ネビュラスダーク」 感想 空からの心を曲げる恐怖!

概要

原題:Nebulous Dark

製作:2021年アメリカ

発売:アマゾンプライムビデオ

監督:シャヒーン・ショーン・ソリモン

脚本:シャヒーン・ショーン・ソリモン

出演:シャヒーン・ショーン・ソリモン


終わりのない時間のループで立ち往生しているキャプテンアポロは、彼が終末後の状態にあり、パンデミックがすべてを一掃したことを発見するために目を覚ます。この冒険には、地獄のようなゾンビの生き物、宇宙船、ロボット、そしてオクタリアンとして知られるエイリアンがいます。

(↑アマゾン商品紹介より)

予告編

感想



アマプラ新作インディーズ映画。

しかし無料かと思ったら有料(200円)でやんの。

「空からの心を曲げる恐怖!」なんて意味不明なキャッチコピーがついてるインディーズ映画に200円出すのもなかなか勇気が要りますよ。こんなの私以外誰も見てないんじゃないかとさえ思えますね。



で、再生ボタンをクリックしたら想像以上に盛り沢山で凝りに凝った難解な内容。

監督・脚本・主演を全て兼任するシャヒーン・ショーン・ソリモン君の脳内にはスタートレック並みに壮大かつ細かい設定が存在するものと思われます。が、そんなものを1時間ちょっとの尺で流れもくそもなく断片的に思わせぶりに見せられてもわけが分からんとしか…。



まずこの映画、冒頭でいきなり変なフォントでかなりの長文(しかも自動翻訳)を読まされて面食らいました。


それによると西暦2073年、地球はオクタリアンとかいうエイリアンの侵略を受け、大半の人類は死滅し、肉を食べる生き物に変身したとか。人間は大抵もともと肉を食べる生き物ですが、この場合まあゾンビですね。主人公アポロはオクタリアンを倒して地球を救う、とそういう話らしい。ちなみにアポロは死ぬとループして過去に戻るっぽいのですが、実際ループしてるシーンがあったのかどうかも分からないし、なんでループしてるのかも分かりませんでした。



ただ全編に渡って映像にはものすごいエネルギーが注がれていて、とにかく円盤やらロボットやらのCGはバンバン出てくるしエイリアンの造形も頑張ってる。その辺からは「この俺様の大傑作SF映画を世界に知らしめて成り上がってやるぜ!!」という野心と情熱が痛いほど伝わってきます。ストーリーにせよ演出にせよ、既存の枠に囚われず「これが俺のやり方なんだ!」という思い上がりもすごく感じる。この強い情熱とかけた手間は確かに素晴らしい。これで彼にあと「才能」があれば良かったのですが。



ただでさえ映像も話もゴチャゴチャしてるうえに自動翻訳の字幕がわけのわからなさに拍車をかけ、シャヒーン・ショーン・ソリモン君の情熱もむなしくもはやギャグとしか思えない雰囲気になっています。たとえば宇宙船のハッチを開ける時の掛け声が「開けゴマ!」になってたり、他にも「おっさん監視ボイス」だの「やわらか風突風」だのと逆にそれほんとに自動翻訳か?と突っ込みを入れたくなる奇怪な字幕を連発。



オクタリアン司令官から「これだけの力があっても、人間の虫けら一匹破壊できないのか!」と叱責を受けた部下も「お詫びコマンダー!」と変な言葉を叫びます。


これに加え、ほぼ全編に渡って常時「デンデンデデデン ペコペコペコペコペコぺコペコペコ…」と気の抜けるBGMが鳴り響いているのが痛い。どういう意図で流しているBGMなんだ、あれは。


ソリモン君が「全編見せ場で固めてやる!」と思ったのか知りませんが、全く緩急がなく一本調子なのも観づらい要因か。これだけ情熱に溢れているものを「クソ映画」と呼ぶことはしたくありませんが、今年観た中でも最もアレな作品なのは確実。マニアの方は200円払って目撃してみるのも一興ではないでしょうか。


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