「サイコハウス 血を誘う家」 感想 泥沼の人間関係をトンカチで破壊

概要

原題:The Rental

製作:2020年アメリカ

発売:GAGA

監督:デイヴ・フランコ

出演:ダン・スティーヴンス/アリソン・ブリー/シェイラ・ヴァンド/ジェレミー・アレン・ホワイト


仕事が忙しくなる前に、海辺のゲストハウスで休暇を楽しもうとやってきた4人組。彼らはドラッグで羽目を外し楽しむが、浴室のシャワーヘッドに隠しカメラを仕掛けられているのを発見。呼びつけた管理人を問い詰めているうちにうっかり死なせてしまう。彼らは死体を隠蔽しようとするが、そこに謎のマスクマンが現れる。


予告編

感想




雰囲気とか演出的には劇場公開クオリティのA級ホラーですが、何とも地味すぎる内容。舞台となるゲストハウスにやってくる4人組の人物描写、泥沼の人間関係をかなりじっくり丁寧に見せてくれるかと思えば、そんなもん全く無意味なんだよとばかりにバッサリ死なせてしまう。そのうえ襲ってくる変態殺人鬼の素性は一切明かされない。変態殺人鬼と言っても盗撮が好きというだけで、大した個性があるわけでもない。実在していてもおかしくないリアルさだけど、悪く言えばキャラが薄い。



これは思い切りがいいというべきか、単に淡泊というか…。「13金」的に殺人を面白おかしくエンタメ化したスラッシャーとは対極に位置するタイプのホラー映画ですね。かといって必要以上に陰惨に見せるというわけでもないし、淡々としててやっぱ地味。この感覚はヨハネス・ロバーツ監督の「ストレンジャーズ 地獄からの訪問者」を観た時と似ています。まあこういうのを好む人もいるのでしょう。



そんな感じなので殺人鬼ホラーとしてはあまり見どころらしい見どころはありません。終わってみれば面白かったのは主役の4人組が織り成すゲスな人間関係だったという話。最初はいい人たちに見えたんですがね。兄弟がそれぞれ妻と恋人を連れて問題のゲストハウスへ羽を伸ばしに来るんですが、兄貴が弟の恋人と不倫関係になってしまい、それを盗撮されていたことに気づいてさあ大変っていう。



そこで4人はゲストハウスの管理人を盗撮魔だと勘違い。根が狂暴な弟は管理人を殴り倒して失神させてしまい、外へ出てこれどうしよう…と悩んでいた隙に、真の盗撮魔であるマスクマンがこっそり管理人を殺害。4人は自分たちが管理人を殺害してしまったとまた勘違いを重ね、隠蔽しようとするも盗撮映像の中身を見てしまい、ズブズブと泥沼の展開に…



ここまで観ていくと、てっきり盗撮魔はこの4人を陥れて自滅するのを楽しむタイプの知能犯なんだなと思ってしまったんですがね。なんか途中からめんどくさくなってきたのか普通にトンカチを持って襲い掛かってきちゃう。色々ぶち壊しというか身も蓋もないというか。まあ変態殺人鬼が変なことしても仕方ないし、むしろ変なことするのが仕事ですから別にいいですけども。あえてぶち壊しにしてる感がある。結局のところ爛れた人間関係の4人組が変態にトンカチで殴り殺されるだけの空虚な作品でした。



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