「ザ・ハウンズ」 感想(ネタバレあり) 人生なんてクソだ

概要

原題:THE HOUNDS

製作:2011年イギリス

発売:アマゾンプライムビデオ

監督:マウリツィオ・デル・ピッコロ

出演:マディー・モアテ/デビッド・ドリュー/ジョン・ダウティ


森のキャンプ場へ遊びに来た3人の若い男女。だが、テントを張ったすぐそばに死体が埋められているのを発見してしまう。携帯は通じず、帰ろうとしても夜遅く道が分からない。そうしているうちに死体が動き出し、彼らを襲い始める…


予告編


↑予告編じゃなくて本編しかなかった。

感想







アマプラ配信の新作Z級ホラー。

しかもイギリス製です。今までの経験上、低予算のイギリス映画が面白かった試しがないんですよね。しかも新作とは言いつつも製作は2011年。10年もスルーされてたのを今更配信とか。



これじゃあんまり期待できないよなあと色眼鏡をかけて再生ボタンを押したわけですが、案の定出だしから全く興味を持てないどうでもいい展開。若者グループがバーでビールを飲んで駄弁っている様子が延々映し出されていたり、暗い顔をした刑事が「人生なんてクソだ」とつぶやいていたり…というような映像がZ級特有のホームビデオクオリティで見せられます。しかも恐ろしくスローでZ級に免疫のない人が観たら寝落ちは必至です。



若者グループが森にキャンプへやって来る様子も必要以上にスローなテンポで見せられるので、よっぽどもう観るの止めようかな…と悩んだんですが、テントを張ったすぐそばで死体を発見してからの展開が凄い。



どっかの投資マンガでは「最初の15分間観ても面白くない映画は時間の無駄だから損切しろ」みたいな合理的思考を説いてました。私はクソ映画愛好家なのでつまんなくてもよっぽど苦痛じゃない限り損切まではしませんが、確かに最初の30分が面白くない映画はその後ガマンして観てても面白くなることはほとんどないです。



この映画なんて最初の15~30分どころか50分近くも驚くほどクソつまらないのでもう死にそうになるレベルです。しかし、そこからが素晴らしい。本作は後半で大逆転を決めた稀有な例となりました。しかも低予算イギリス映画だから二重に珍しいというかもはや奇跡。



後半はテントのそばで見つけた死体がまるで悪霊が乗り移ったかのように若者グループを襲うんですが、その手法が独特です。肝臓を抜き取ったり心臓を抜き取ったりと臓器にこだわりのあるような攻撃。さらに、若者がテントの中で瀕死の恋人を目の前にして嘆き悲しんでいたところを外から突然の目突きで眼球を抜き取っていく襲撃シーンのインパクトは素晴らしい。思わず繰り返し再生してしまいました。ゴア描写のリアルさといい、この辺の演出はZ級映画の範疇を超えています。



とはいえ、この死体は一体何なのか? 

悪霊が好き放題暴れているだけなのか?

なぜ臓器を抜き取ることにこだわるのか? 


という疑問がどう処理されるのかが心配でした。どうせZ級だしテキトーにうやむやにされてもおかしくない。しかしそこは終盤に驚くべきどんでん返しが仕掛けられており、反則スレスレの微妙なトリックながらも伏線は充分張られていたことに感心しました。いや~これは予想外にかなりいい映画でしたね。



アマプラでよくあるただの謎クソ映画かと思いきや、頑張って鑑賞してたらこういう掘り出し物に出会えることもある。前半がつまらなくても損切などせず最後まで観ておくべきだなと改めて認識しました。



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