「ロスト・マーメイド」 感想 怪作としか言いようがない

概要

原題:Mermaid Down

製作:2019年アメリカ

発売:プルーク

監督:ジェフリー・グレルマン

出演:バート・カルバー、アレクサンドラ・ボコヴァ、エリン・レイ、ミーガン・カイザー


ある日、一匹の人魚が欲深い漁師たちに捕まり、斧で真っ二つに切断されてしまう。そこに居合わせた精神科医ベイヤーは漁師をぶっ殺して人魚を病院へ連れ帰る。陸に上がって人間の足が生えてきた人魚は、入院中の女の子たちや幽霊と仲良くなっていくが。



予告編

感想





むりやり陸に揚げられた人魚がひどい目に遭わされるファンタジー・ホラーといった趣の変な映画。人魚映画といえば「ゆれる人魚」とか「黒人魚」なんかがありましたが、どれも相当変な作品です。本作もかなりグロいし殺人鬼もいるしでホラー的な面が目立ちます。かと思えば中核にあるのは女の子同士の友情。何となく芸術的で深い意味が込められてそうな雰囲気もあるんですが、あまりにも狂気が漂いすぎてて私にはちょっと難しすぎました。ただ、製作費85000ドルの低予算インディーズ映画としては相当クオリティは高いと思います。



舞台は現代だけど普通に人魚がいる世界で、漁師が金儲けのために人魚を捕らえる場面から始まります。しかもただ捕まえるだけではなく、人間の部分と魚の部分を切り離すことでより儲かるとか何とか。どういう理屈だか分かりませんが、単体ではなくそれぞれ別々に需要があるってことですかね。しかし斧で胴体を真っ二つに断ち切るわけだから、そんなことしたら死んでしまうのではないか? と思ったら全然大丈夫でした。そういえば「ゆれる人魚」でも切ってたけど生きてたな。人魚ってそういうもんなの?



しかしその漁師はたまたま近くに居合わせた精神科医のベイヤーにぶっ殺されてしまい、真っ二つにされた人魚はベイヤーに連れていかれて女子専用の精神病院に閉じ込められることに。…何だかとても型破りなストーリー展開です。



そうして陸揚げされた人魚は足が生えてきて見た目は人間と変わらない状態に。で、患者たちやその辺をウロウロしている女の子の亡霊と仲良くなったり。彼女たちやスタッフはみんないい人っぽいので何となく微笑ましいムードになってるような、なってないような…。院長のベイヤーが激ヤバ殺人鬼なので地下にウジの湧いた死体を隠していて犬に食わせていたりとか不穏なグロ描写が多くてどうも不安を煽られます。画面もずっと暗いし。



何やかんやあって人魚の足が魚仕様に戻って、女の子たちと協力して殺人鬼ベイヤーとの戦いになるんですが、その殺し合いもかなりのインパクト。ベイヤーがユニットバスに隠れた女の子たちを銃でまとめて射殺した直後に「う~トイレトイレ」と入ってくるアホな女の子とか。変なところで急に笑いを取りに来るなあと。人魚のアイアンクローもアレだし、釣り針を喉に突っ込むのもすごい。これだけカオスなのに終わり方は妙に綺麗にまとまっていて、一体何を見せられていたんだ…と不思議な気分になりました。


コメント

切り裂きシンザ さんの投稿…
「ゆれる人魚」は私も観ました、確かに変な映画でしたね。「ブルーマインド」も人魚ネタでしたがこっちは少女の思春期がテーマでした。こういうのを見るとディズニー的な美しく清純って扱いに対するアンチテーマ的な感じな気もしますね。

「ロスト・マーメイド」ですか・・機会があれば視聴してみます。
岩石入道 さんの投稿…
人魚映画と言えばだいたいが悲恋話で、人魚は最後に消えてしまって儚く悲しい終わり方をするものというイメージがありますが、本作は恋愛が関係なくグログロしいけどハッピーな終わり方なので意識的に逆を行ってるのかもしれません。あえてオススメするほどでもないんですが奇怪なものが見たければ、という感じです。