「AVA/エヴァ」 感想 情緒不安定な暗殺者

概要

原題:AVA

製作:2020年アメリカ

配給:クロックワークス

監督:テイト・テイラー

出演:ジェシカ・チャステイン/ジョン・マルコヴィッチ/コモン/ジーナ・デイヴィス/コリン・ファレル/ヨアン・グリフィズ/ジョアン・チェン


アル中ヤク中から立ち直って軍隊に入り、その後暗殺者に転身したエヴァ。だが、彼女はターゲットに殺される理由を聞くという悪癖があった。組織にその点を問題視され、エヴァは処分されそうになる。エヴァは差し向けられる暗殺者を退けながら家族との絆を確かめるが、今度は組織のボスが迫っていた。


予告編

感想



予告編も全然やっておらずまるでノーマークだった作品ですが、何となく劇場で観てきました。しかしこのタイトルはいかがなものか。世間が「シン・エヴァンゲリオン」で盛り上がっているところに「エヴァ」って。チケット買うときに紛らわしいことこの上ない。



ただ、女暗殺者ものは他にも「EMMA/エマ」だの「ANNA/アナ」だの色々ありますが、名前が違うだけで同じようなタイトルばっかなのでそういう慣習があるみたいですね。別にそんなの無視して「海へ向かうエヴァ」みたいな情緒的な邦題にすればいいのに…と思うけど。



内容は、ジェシカ・チャステイン演じる美しき暗殺者エヴァが「あなたはなぜ殺されると思うの?」とターゲットに質問してしまい、それを問題視した組織に処分されそうになるというもの。



その問いかけに何か深い意味でもあるのかなと思って観てたんですが、何かあったような、無かったような…。暗殺者ものだけどアクションの比重はわりと控えめで、どちらかと言えばヒューマンドラマ寄りの地味な映画でした。



暗殺者と言えば身寄りのない孤独な人間がやるものというイメージがありましたが、本作のエヴァの場合は母親と妹とその婚約者がいて、愛憎入り乱れる泥沼の家族関係となっております。複雑な関係とはいえ愛する家族がいるのに、累が及ぶかもしれない暗殺者稼業なんかやるなよ…とは言いたい。身内にそんな人間がいたらたまったもんじゃない。エヴァは色々ヤケクソになって落ちるところまで落ちた感があって、41人も暗殺したキリングマシーンのくせに情緒不安定で人間臭いです。



どうでもいいけどエヴァの母親役がジーナ・デイヴィスと後で知ってビックリしました。全然気づかなかった。しかし「ロング・キス・グッドナイト」ももう25年前の映画なんだよね。老け込んでて当然か。



気になったのはエヴァの妹の婚約者マイケルで、こいつはエヴァの元カレでもあり生業がギャンブラーというダメ男。婚約してた女が蒸発しちゃったからその妹と結婚しよう、っていうのもどうかと思いますが、子供まで作って幸せな家庭を築こうとしてるのに収入源が競馬しかないってのが笑えます。しかも競馬だけじゃ足りないから非合法の賭場に入り浸ってカードゲームで稼ごうとして結局莫大な借金を抱えてたりとかね。そんなクズ野郎なのにエヴァは未練ありまくりらしく復縁しようと迫ったり。ダメ人間クズ人間の見本市みたいでこれはこれで楽しい。



そんな感じなのでエヴァは見た目に反してカッコイイ暗殺者キャラとは到底言えず、苦戦する描写が多いのも相まってあまりスタイリッシュなアクション映画にはなっていません。この辺、ポスターの雰囲気から期待したものとは全く違うものをお出しされたと不満に感じる人が多いかもしれませんが、私はそこそこ楽しめました。コリン・ファレルとジョン・マルコヴィッチの泥臭い一騎打ちも見られてお得な気分。






あと、BGMが気に入ったのでサントラも購入しました。

まあエヴァはこんなクールなテーマ曲が似合うようなキャラでもない気はしますが。

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