「キャリー 狂気の少女」 感想 めんどくさすぎる少女

概要

原題:TRIGGERED
製作:2019年アメリカ
発売:アマゾンプライムビデオ(CWM Entertainment)
監督:クリス・ムーア
出演:メレディス・モーラー/ジェシー・ダルトン/サム・ファーマン

高校生のキャリーは、周囲の言動や行動すべてをいちいち差別問題と結びつけ騒ぎ立てる問題児。キャリーと一緒にいてくれるのはゲイの友人イアンだけ。ある時キャリーはクラスメイトのリサといつものように口論になるが、リサはもみ合いの末に頭を打って死んでしまう。焦ったキャリーはイアンと共にリサの死をさも殺人犯の襲撃であるように偽装工作するが…

予告編



感想






アマプラの超低予算ホラー映画。
始まった瞬間にその安っぽさが伝わってきます。
ちなみにスタッフロールが異常に短かったので数えてみたら、スタッフはキャストを除いてたったの21人しかいませんでした。
しかし、これはアマプラ謎映画の中ではかなりの大当たりと言っていいレベルで面白かったです。



何が面白いかって、主人公キャリーのキャラクターが異常に濃いんですよ。
同性愛者、アジア人、黒人についての差別的言動・行動にはどんな些細な事でも異常に噛みつく異常な女子高生キャリー。クラスメイトが箸で髪を結っていたのを見ただけでも「アジア人をバカにしている!!」とブチ切れて校長に告げ口。まあ確かにそんなことに箸を使うのもどうかとは思いますが。

コックが食堂で黒人にフライドチキンを渡しただけでも黒人差別だと言ってキレて辞めさせる。妊婦がお腹の子を女の子よと言っただけでも「本人の意思を無視して性別を決めつけるなんて!!」とブチ切れる。自分は全性愛者だからと言い張り、いつも男子トイレを使い、入ってくる男子に噛み付く。何でか分からんけどトイレに鏡があるのも許せず全部撤去させてしまっている。この学校、問題児の言いなりになりすぎじゃないですかね。

というかキャリーはもはや問題児とかいうレベルではなく、サイコと言っても過言ではないほどいかれています。ここまでいくとウザイを通り越して「次は何にどんな難癖つけるんだろう」と期待してしまうくらいウォッチ対象としては面白い人物です。見た目は結構かわいく、胸元をやたら強調している。でもそこを見たら怒るというめんどくささ。唯一の親友イアンにも「いつもキレてるよね」と言われる女。


そんな奴が口論からもみ合いとなり、うっかりクラスメイトを死なせてしまいます。半分事故みたいなもんだし素直に通報しとけばいいものを、イアンを巻き込んで隠そうとしてしまうキャリー。たまたま町でシリアルキラーによる殺人事件が起きていたので、そいつの仕業に見せかけようと偽装工作。これは一体どういう話なのか。キャリーのキャラの濃さも相まってストーリーがどこへ転がっていくのか全く読めません。

キャリーとイアンという男女間の歪んだ友情も面白い。こんなの今まで見たことが無い奇怪な人間ドラマです。例えばイアンの誕生日に男娼(オッサン)をプレゼントしてしまうキャリー。高校生のやることとは思えません。尺が1時間49分とかなり長めなのでイアン君の濃厚なゲイの恋愛劇なんかも盛り込まれております。こんなスラッシャー映画観たことないよ。

そういえばこれはスラッシャー映画でした。…で、それ系の映画としてはどうなのかというと、80年代風の超チープなシンセサウンドに乗せてマイケルっぽい白マスクの殺人鬼が襲ってくる。これは何をどう見てもジョン・カーペンターリスペクト。被害者の中にもメガン・カーペンターという奴がいるし間違いない。「ハロウィン」が好きな人なら微笑ましい気持ちで楽しめるでしょう。

「特別な存在になりたい」と願うキャリーは町を騒がすシリアルキラーの被害者になればその願望が満たせると考えた。しかし、この映画の観客からすればわざわざそんなことしなくても十分特別な存在と言えるほどインパクトに残るキャラクターでした。

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