「吸血鬼カンパニー」 感想 もし従業員が皆食人族の会社があったら

概要

原題:Netherbeast Incorporated
製作:2007年アメリカ
発売:配信のみ
監督:ディーン・ロナルズ
出演:スティーヴ・バーンズ/キャシー・ランキン/デイヴ・フォーリー

歴史ある企業バーム・テックに勤めるオットーは今年で108歳。彼は人間の血をすすり、肉を喰らって生きる種族”ネザー・ビースト”だった。バーム・テックの人間は全てネザー・ビースト。ここではおやつも社食も人肉料理。しかしトップのターナーがボケはじめ、普通の人間を次々と採用してしまう…。

予告編




感想






今月はものすごい勢いでプライムビデオに謎の映画が追加されまくっているんですが、この私の消化力を持ってしても全く追いつけそうにありません。考えようによってはよりどりみどりのうれしい状態とも言えるのですが、どう見てもZ級だろと言いたくなる作品だらけなんです。

いや、Z級ならお前の得意領域だろうと思われるかもしれません。
しかし私はモンスター系のZ級なら喜んで鑑賞しますが、人間しか出てこないZ級は人並みにツライと感じる人間なんです。

そんな中でも、本作は吸血鬼っぽいモンスターが出てくるホラーコメディということで、比較的観やすそうなオーラを感じました。製作は2007年と結構古いのが気になりますが。




”ネザービースト”という吸血鬼に近いモンスターだけで運営されている企業”バーム・テック”の内部で巻き起こるイザコザを描いた作品です。人間社会に溶け込みつつも正体がバレないようにひっそり活動しているという設定。尺の大半をそのネザービーストの設定説明やバームテックの歴史の解説に費やしているため、ホラーともコメディとも言い難くプレゼンのようなノリです。
なので、本作のジャンルは”空想会社映画”と表現したい。漫画「ぷりぷり県」に出てくる五郎商事のような感じですね。

空想会社の前にまずネザービーストについてですが、彼らは「人間の血や肉を喰らう吸血鬼に近い怪物」と言いながら、実は全然吸血鬼っぽくない。生きてる人間を襲うこともなく、コネで死体をもらうルートが出来ている。大して力が強いわけでもない。ただ人肉を喰うだけの、普通の人間に見えます。申し訳程度にニンニクや日光に弱い設定も語られはしますが。

つまり、ネザービーストとはただの食人族と同じようなものなのでは?
これに気付くと、この空想会社の設定に俄然興味が湧いてきます。

「社員全員が食人族の会社があったら?」

こんな面白い設定の空想会社はあまりないでしょう。
しかも社長が長生きしすぎでボケてしまい、ただの人間を採用し出してしまうのです。
社員は食欲を抑えながら、人肉食がバレないように振舞わなければならない。

そんな中、食人族が生きるために必要な「食人石(ネザーストーン)」が失われてしまう…というサスペンス展開。さらに主人公オットーと人間の女の子との恋愛ドラマ、社長の認知症を巡る陰謀など、超低予算感のわりに盛り沢山でなかなか楽しめました。プライムの謎映画の中では当たりの部類だと思います。


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