「THE POOL ザ・プール」 感想 ザ・プールというよりザ・フール

概要

ザ・プール
製作:2018年タイ
発売:インターフィルム
監督・脚本:ピング・ランプラプレング
出演:ティラデート・ウォンプアパン/ラットナモン・ラットチラタム

映画撮影スタッフのデイは、プールでの撮影終了後に浮き輪の上で眠り込んでしまう。目を覚ますと水が抜かれており誰もおらず、深さ6mもあるのにハシゴも何もないので脱出不可能の状況に陥っていた。そのうえ、どこからともなくワニがやってきてしまう。







感想


設定も登場人物の行動も何から何まで突っ込みどころ満載すぎて観客をもれなく爆笑の渦に叩き込んでくれるナイスなワニ映画(タイ製)。


「シーズンオフのプールに閉じ込められて出られねえ!」というシチュエーションは2年ぐらい前のアメリカ映画「プール」とほぼ一緒です。主人公が糖尿病でインシュリンを手に入れて注射しないとヤバイという設定も全く同じ。ただ、本作の主人公デイは糖尿病の割りにかなりマッチョでワニに胴体を噛まれても大して動じないほどの鋼の肉体を持っています。


「プール」も大概とんでもなくマヌケな顛末でしたが、本作はそのはるか上をいくポンコツぶりなうえにワニまで参戦してくれるということで、珍作・ワニ映画マニア的には大変ポイントが高いです。



まず、水深が6mもあるプールなのにハシゴのひとつも備え付けられていないという時点で驚きです。うっかり落ちたらただじゃすまないだろうに柵すらも全くない。タイにはそんな恐ろしいプールが実在するんでしょうか?
まあそれは良いとしても、そんなプールの中で呑気に昼寝しているデイの行動があり得ない。
「今水を抜いてるぞ、さっさと上がれ」と仲間にはっきり注意されてるにも関わらず、なぜかそれを完全に無視して熟睡してしまうのです。この時点でもう自業自得以外の何物でもない。


さらに、後からやって来たデイの恋人コイは明らかに水深が浅くなっているのを気にも留めず勢いよく飛び込んできて頭を強打。何というエクストリーム自殺未遂。よく今まで無事に生きてこられたなと思うほどに粗忽。まさにザ・フール。そんな感じであり得ないミスを積み重ねまくり、2人は水の無くなったプールから出られなくなってしまいます。


そして、特に理由もなく現れてプールに飛び込んで来ていたワニ。

          






(※イメージ画像)


タイではその辺を普通にワニがウロウロしているってことなんでしょうけど、それにしてもなんで今わざわざ飛び込んでくるの?っていう作為的すぎる状況悪化ぶりに笑いが止まりません。デイの探していた重要アイテムがなぜか寝ているワニの口の中にあったりするシーンも不自然すぎて爆笑ものです。寝顔が妙に可愛らしいのもポイント高し。ワニって口を開けたまま寝ちゃうもんなんですね。



他にもワニの卵で飢えをしのいだり、有刺鉄線を拳に巻きつけてワニとレスリングしたりとトンデモな見所には事欠かない素晴らしすぎるワニ映画なのですが、中でも通りすがりの一般人がせっかくプールにハシゴをぶら下げてくれたのに、とあるギミック(?)が発動してハシゴがすっ飛んで行ってしまうシーンは特に強烈です。今年一番笑ったと言っても過言ではないかもしれない。まあ、笑えるとはいえ助かる可能性をことごとく潰されまくるので絶望感も相当ありますが。本作がもし貧困層の理不尽な閉塞感を表現している映画だというなら、それなりに成功しているのかもしれません。



ということで本作は全ワニ映画ファン、珍作映画マニアにオススメです。
ただ、犬がドン引き級の酷い死に方をするので愛犬家の方はやめておいた方がいいでしょう。






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