「デッド・ウィッシュ」 感想 仕事が無い弁護士の苦悩

概要

原題:The Final Wish
製作:2018年アメリカ
発売:AMGエンタテイメント
監督:ティモシー・ウッドワード・Jr
出演:リン・シェイ/マイケル・ウェルチ/メリッサ・ボローナ/スペンサー・ロック/トニー・トッド

生活苦に悩む弁護士のアーロンは、父親が亡くなったとの知らせを受け故郷へ帰る。葬儀後、遺品の中から古い骨壺を発見。その夜、近所の犬が吠え続けることに苛立ったアーロンは犬に吠えるのを止めろと怒鳴りつける。すると、翌朝犬は無惨に死んでいた。その骨壺は、命と引き換えに願いを叶える呪いの骨壺だったのだ。


予告編





感想

この映画についていくら検索してもブルース・ウィリスの「デス・ウィッシュ」しか出てこないから変だなと思ったら「デス」ではなく「デッド・ウィッシュ」でした。パチモン並みかそれ以上に紛らわしい。宣伝で「ファイナル・デスティネーション」シリーズとの関連をアピっているので、これもそういうピタゴラ・スプラッターなのかと思いきや、全然関係ないただの凡庸なオカルトホラーでした。一応、ファイナル・デスティネーション系と思われる死に様を見せてくれる場面も言い訳程度にねじ込んではありますが、スプラッター要素は皆無だし、死の運命が迫る恐怖感などビタ一文ありません。




内容的には昨年公開の「セブン・ウィッシュ」にかなり近いものがあります。何も知らずに願い事をしたらまず犬が死んでしまうというのもそうだし、叶えられる願いは7つなのもそうだし、主人公の辿る末路も大変似ています。端的に言ってオリジナリティが非常に薄い。「セブン・ウィッシュ」の方は主人公がノリノリで私利私欲全開の浅ましい願いごとを乱発するうえ、その代償を全く無関係の人がかぶってしまうなどネタとしては結構面白い要素もあったんですが、本作にはそういうのも全くなし。法則性がいまいち見えないのは共通していますが。

かろうじて見どころと言えるのはすっかりこの手のホラーでお馴染みとなったリン・シェイのキ〇ガイばあさんっぷりぐらいです。唯一無二の技を身に付ければ年をとっても仕事に困らないという好例ですね。あれは映画の内容と関係なく怖い。




本作、事件が起こるまでの前フリがえらく長いのですが、むしろ本題よりそっちの方が面白いんじゃないかという気がします。主人公アーロンは弁護士なのですが、アパートの家賃を滞納して追い出されかけているほど仕事に困っている。自分で事務所を開いても上手くいかないし、雇われ弁護士になりたくてもどこにも雇ってもらえない。日本では司法試験に受かればその後の人生バラ色みたいなイメージがありますが、アメリカではそうでもないのでしょうか。エントリークラスの新入社員の年収が平均5万ドル超という景気のいいニュースをこないだ見たばかりなんですが、アーロンのような貧困層のニュースもそれなりに目にするし、アメリカという国の実態がわかりにくく感じます。要するに二極化しているということなんでしょうか。


そんなみじめな負け犬として帰郷したアーロンと地元のろくでもない知り合いたちとのちょいギスギスした交流は、底辺人間ドラマとしてそこそこ楽しめます。呪いの骨壺がうんたら言い出してからは全然面白くないのですが、映像的には充分B級映画と言っていい雰囲気は醸してありますのでボチボチ暇つぶしにはなるでしょう。







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