「ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝」感想 アメリカン・シラット・全体主義

概要

原題:Boy Kills World

製作:2023年アメリカ・ドイツ・南アフリカ

配給:AMGエンタテインメント

監督:モーリッツ・モール

出演:ビル・スカルスガルド/ジェシカ・ローテ/ヤヤン・ルヒアン/アンドリュー・小路/ニコラス・クロベッティ/クイン・コープランド/ファムケ・ヤンセン


政府とか治安が崩壊し、女帝ヒルダ・ヴァンデルコイが支配する終末世界。ボーイは家族を公開処刑され、自らは生き延びたものの声と聴覚を失ってしまう。謎の男シャーマンのもとで修業を積んだボーイは年に一度の反乱分子粛清の日、ついにヒルダへの復讐へと乗り出す。


予告編

感想



なぜかわけのわからん雰囲気邦題が付けられた格闘アクション映画。


製作国にドイツ&南アフリカが入っており、そのうえこんな邦題だと「アフリカン・カンフー・ナチス」みたいな劇物になっているのではないかと想像してしまいましたが、アレとはまた全然違う方向性の劇物でした。

これも札幌シネマフロンティアで同日に「ザ・モンキー」から続けて鑑賞。



ビル・スカルスガルドが格闘やるイメージはあまり持ってなかったんですが、体脂肪率2%くらいに絞ってバキバキに鍛え上げられた肉体で激しいアクションをこれでもかとモリモリ繰り出しており、その点は非常に良かったです。タイトルがこれで役名もボーイでそんなに違和感ないけど一応35歳なんですよね。



話の方は「ディストピアの支配者に惨殺された家族の仇討ち」と実に王道なやつ。とはいえ、雰囲気と語り口が独特なのでそんなにありがちな感じはしません。初っ端から生き埋めになってカメムシを食べる修業とかしてるし。ただ世界観の説明があんまりされなくて「もうわかってるよな」とでも言いたげに色々省略して進行していくので、原作コミックでも存在するのかな?と思ったけど別に何もない模様。



キャラクターはどいつもこいつもマンガ的な濃さを持っており、中でもフルフェイスヘルメットにLED文字を表示して会話する凄腕の女暗殺者(役名:6月27日)がインパクトありまくりでかっこいい。しかもヘルメット脱いだら中に「ハッピー・デス・デイ」の人が入ってたんだけど、あれほど激しいアクションをこなせる人だったとは全く思ってなかったので驚きました。ヘルメット被ってる時だけスタントマンに交代してるわけじゃないよね?



尺が111分もあって前半はちょいダルくてウトウトしてたんですが、粛清の日のテレビ中継あたりからどんどんアクションが激しく盛り上がっていき、クライマックスに至っては「ザ・レイド」オマージュ全開の超絶残虐ファイトでテンション爆上がり。図式がまんますぎるだろ!とは思ったけどあの「ザ・レイド」に本気で挑むかのような激しい血みどろバトルは実に素晴らしい。動きでは敵わなくともエグ味では超えていたかも。あれからもう14年も経ってるのにまたヤヤン・ルヒアンとの狂犬じみた殺し合いがスクリーンで拝めるとかもうたまらんですよ。ここを繰り返し観るためだけにブルーレイがほしい。





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↑音楽がとても良かったので帰ってきて速攻サントラ買いました。






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