「ゲームマスター」 感想 狂気のロシアン寿司レットダンス

概要

製作:2018年日本

発売:チーム・ベター・トゥモロー

監督:石井良和

出演:杉山裕右/千葉美紅/藤田健彦/寺中寿之/坂間健司/大野亮/篠澤優/舞木ひと美/高瀬みゆき/行永浩信/本間健太/小沢まゆ/永田直人/兼尾洋泰/かねこはりい


いつの間にか謎の部屋に監禁されていた9人の男女。そこにゲームマスターを名乗る謎の和風仮面男が現れ、猛毒入り寿司ゲームの開催を宣言する。それはひとり1貫ずつ寿司を選んで食べさせられるが、中にひとつだけ致死量の猛毒が入っているという途方もなく恐ろしいデスゲームだった…


予告編

感想



2018年に製作され、スペインで喝采を浴びた謎のカルトムービー(自称)。

邦画というのもあって全く知らない作品でしたが、狂気のクソ映画マニア・足袋さん&阿部雄大さんが大絶賛していたので試しに観てみました。今回は一人ではなくゲームバーlettuce702のZ級映画会で飲みながら鑑賞。



題材がまたデスゲームものなんで、どうせ「Q」みたいな虚無系クソ映画なんだろうな…と油断していたらとんでもないテンションの珍作でした。どこまで狙っているのか天然なのかわかんないけど、どの要素をとっても正気の沙汰じゃないことは痛々しいほど伝わってきます。



それでデスゲームの方がどんなものかと言うと、まず人数分の寿司が出され絶対に食べなければならないが、その中には1貫だけ致死量の猛毒が入っている…というただそれだけの安直な運ゲー。ラウンドが進むたびに人数が減っていき最後のひとりが勝者。



みんなどれが毒入りなのかろくに吟味もせずテキトーに皿を取るので、戦略性も駆け引きも何もない。1分もあれば終わるのに1日1ゲームずつしかやらない。寿司1貫で終わるので、他に食事が出ているのか心配になってきます。その寿司もシャリは潰れているわ、ネタも見るからに安っぽいわで激しくマズそう。ここまでしょうもないデスゲームはなかなか見られるものではありません。並みの神経持ってたら少しはひねりたくなるだろうに。



そもそもなぜ寿司なのか?


「寿司を選ぶことは人生を選ぶことに等しい」


らしいです。

そうですか。。。

としか言えんが…



それはまあいいとして、本作では寿司を出す際に謎すぎる奇怪な儀式を毎回必ず見せつけられます。法被を着た大仏仮面男がタイコをドンドコ叩きながら和紙に寿司ネタ名を書き、着物姿の女性3人と踊り狂いながら寿司を用意し、ミニチュア機関車に寿司を乗せて廊下を走らせ、参加者の元に送り届けるっていう。



ゲームの単純さに対してこの儀式の異常な凝り様は一体何なのか。謎に明るいBGMに乗せた激しい寿司ダンスからの機関車爆走が支離滅裂すぎて笑い転げてしまいました。スペイン人にバカウケしたのも納得の情熱がそこにはあります。







この比類なき寿司ダンスを尺稼ぎと罵ってる人もいるけど、むしろこれが本作におけるメインコンテンツと言っても過言ではないと思うんですよ。映像、セット、音楽、振り付け、全てのクオリティが本作の中では不自然なほど圧倒的に高品質なシーンなんです。明らかに気合の入り方がまるで違う。使い回しじゃなくて毎回違う踊りになってるのも驚き。何が彼らをそこまで逸脱させたのか。それよりもラウンド間に挟まるテキトーな余興の方が尺稼ぎであると思われます。



なんせ鑑賞会ではゲームのラウンドが進んで踊り出すたびに「来た来た!」と盛り上がってましたからね。4回じゃむしろ物足りないくらいでしたよ。もう1回ぐらいやってくれても良かったよ。こんなにも力入った演出なのにデスゲームの参加者は見てないっぽいのがまた謎(※追記:一応観てたようです。何の反応もないけど)



あの笑顔と「イカ!」「イカ!」「イカだよ!」は一体誰に向けたものだったのか。あの寿司ダンサーたちの素性が知りたい。何を思ってあの狂気の寿司ダンスを踊っていたのか根掘り葉掘り訊いてみたい。結構な修練を積まないとできないであろうクオリティのダンスでしたからね。どんなモチベーションでやっていたのか気になって仕方ないんですよ。映画のクライマックスやオチは真面目に観ていたら糞過ぎてブチ切れるか唖然とするかの二択ですが、あの寿司ダンスの前ではそれすらも些事であったと言えます。




「ゲームマスター」(Amazon Prime Video)


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