「ザ・チェイン 絶望の鎖」 感想 死にたいのか、死にたくないのか

概要

原題:The Chain

製作:2019年スペイン・アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:ジョン・パトリック・アメドリ/マデリーン・ジーマ/ジェイミー・クレイトン/デイ・ヤング/ネウス・アセンシ/レイ・ワイズ/エイドリアン・バーボー


父親が病に倒れ、家族と共に帰郷したマイク。両親はこれでマイクが眼科クリニックを継いでくれると喜んでいたが、実はマイク自身も不治の病に侵されつつあった。友人の医師に相談していたマイクは、同じ病に冒された人たちの集会に参加するよう勧められる。そこでは”チェイン”と呼ばれる非合法の活動が行われていた…


予告編

感想



毒親父と不治の病に絶望した眼科医マイクが、同じ病に苦しむ人々の集会に参加したばかりにややこしいことに巻き込まれていくサスペンス。懐かしのレイ・ワイズとエイドリアン・バーボーが両親役で出ております。



これはTMA提供のアマプラ謎映画としてはそんなに悪くなかったです。前フリが長くてテンポが悪く、真相が反則気味なことを除けば、マイクが怪しげな非合法活動と出会ってどんどんドツボに嵌っていく様子はなかなかスリリングで面白い。






↑地味に邦題ロゴが凝ってていいですね。



マイクが何の病気にかかっているのか病名は明らかにされないんですが、手の震えと認知の狂い、情緒不安定さを見るに若年性認知症のように思えます。まあ余命が残り少ないみたいな雰囲気だったので違うんでしょうけど。マイクが眼の手術をしようとしてうっかりメスをズブリとやってしまうのが一番の衝撃シーンでしたね。そんなセンセーショナルな医療ミスを家族に隠して病の集会に出るっていうのも結構無理がある気がしますが、案外大したことなかったんでしょうか。



とにかくこれは絶対に助からない病気だけど、自死はみんな出来ないからあなたが私を殺してくれれば次は他のメンバーがあなたを殺してくれるわよというのが”チェイン”なる活動。自死はダメ、殺しではなく「救い」と呼ぶのは宗教的な都合でしょうか。マイクはそれを了承したはいいが、お前も俺もやっぱり気が変わった!でももう取り消せない!さあどうしましょうという話。



この活動、本当にやるなら結構なペースで参加者が入ってきてくれないとすぐ全員いなくなってしまいそうな気がするんですよね。最後のひとりは次の新入りが来るまで待てばいいのか? 何の病気かよく分からんけど、そんな厄介なことをするぐらいなら大人しく入院してた方がいいのではないかと思わなくもない。



それはいいとして、マイクの認知が正しくないのは問題です。信頼できない語り手というやつですね。いくら伏線が張られていたとしても「実はあの場面でマイクが見ていたのは幻覚だったんだよ」とやられてしまうと「ああ、そうなの…病気なら仕方ないか」くらいの感想になってしまう。とはいえそれだけのオチというわけではなく別方面でのサプライズもあり、その後のあまりにも深い絶望感は印象に残りました。




「ザ・チェイン 絶望の鎖」(Amazon Prime Video)



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