「ジョーズ・ザ・ファイナル」 感想 少食すぎるサメ

概要

原題:THE REEF STALKED

製作:2022年オーストラリア

発売:AMGエンタテインメント

監督:アンドリュー・トラウキ

出演:テレッサ・リアン/アン・トルーオン/ケイト・リスター/サスキア・アーチャー


南の海を訪れたニックと妹のアニー他友人たちはカヤックに乗って無人島を目指していた。

だが、途中で巨大な人喰いザメに襲われて一人が喰われてしまう。


予告編

感想




「赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター」「ブラック・ウォーター」などリアル系のサメ・ワニ映画をよく撮っているアンドリュー・トラウキ監督の新作サメ映画。本作は「赤い珊瑚礁」の続編とのこと。



…なのに、なんでこんなやっつけ邦題になってしまうのか。一体何がどうファイナルなのか。ジャケ絵の構図、サメ、フォント、煽り文句などどこを取っても他作品の流用感ありまくりです。なんて雑な仕事なんだ。原題が「THE REEF STALKED」なので「サメストーカー・ザ・ファイナル」とかの方がまだクソサメ映画マニアが喜んだのではないでしょうか。どっちみち詐欺邦題には変わらんのだし。



まあ、見てくれはゴミクソでも「赤い珊瑚礁」は地味ながら全編に渡って本物のホホジロザメの映像を使うなど細部にこだわった良い出来の作品だったし、本作にもそれなりに期待して構わないだろう…



と思ってたんですが、中身の方も全然面白くないっていう。

これじゃ雑に扱われても仕方ないかも。

一体どうしてこんなことに…。



まず4人の女性グループがカヤックで海に出たらサメに襲われるという話ですが、これまでのアンドリュー・トラウキ監督作同様特にひねりはありません。この監督はいかにリアルで恐ろしい襲撃シーンを撮るかに心血を注ぐ人で、それ以外の要素はおざなりに済ませる傾向。しいていえば極限状況で露わになる人間の醜い本性を描くことが多いかなというイメージ。



しかし本作の場合、その肝心のサメ襲撃シーンが少なすぎる。こんな映画でネタバレに気を使ってもしょうがないので書きますが、サメに喰われるのは4人中たったの1人だけ。つまりファーストアタックが唯一最大の見せ場と言っても過言ではない。これはサメ映画としては著しくバランスに欠けます。これが現実の事件を元にした映画なら1人だけ喰われて残りの3人が生還しても「大変だったね…」と言ってあげたくなることでしょうが、フィクションでその生還率は生ぬるいにもほどがありすぎる。逆にここまで被害の少ないサメ映画は他になく、その点においてはむしろ記憶に残る作品だと言えます。



一応、無人島の近くで遊んでいた子供が襲われる場面もあるにはありますが、まあ結局喰われることはないし、主人公グループがそのまま無人島に上陸できてしまうので緊張感が著しく削がれます。どうしてこう何もかも前作より劣化しているのか。アサイラムのサメ映画とそう変わらないところまで堕ちています。



冒頭で主人公の姉がDV夫に殺害される事件が起き、残された次女三女にとってはそれがトラウマで確執の元となり、サメの襲撃を通して本音をぶつけ合ってその辺を乗り越えるみたいな人間ドラマが盛り込んではあるものの、だから何だとしか言えない。一応ちゃんとマジメに海で撮影している分だけサメ映画としてはましな方と言えなくもないけども、アンドリュー・トラウキ監督作の中では間違いなく最低。そんな感じの作品でした。


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