「ゾンビのジョンおじさん」 感想 ヒマを持て余した老人の道楽

概要

原題:My Uncle John Is a Zombie!

製作:2016年アメリカ

配信:アマゾンプライムビデオ

監督:ロバート・L・ルーカス/ジョン・A・ルッソ

出演:ジョン・A・ルッソ/サイファイ/ゲイリー・リー・ヴィンセント


ゾンビ映画に新しいヒーローが誕生!親族に匿われているうちに人間の機能を取り戻したゾンビ。肉食の欲望に固執せず歩行や会話ができ、性交すらも可能!その代表格"ジョンおじさん"は一躍時の人に!だが一方で、その存在を認めないゾンビ狩りのハンターなどがその身辺を賑わす。

(↑アマゾン商品紹介より)

予告編

感想





毎度おなじみ itn distribution 提供のアマプラ謎映画。



即身仏級のクソサメ映画を体験した直後だから、次はitnでも何でも楽しめるに違いない。

と、言うなればサメデター・ドーピングの効果を信じて鑑賞してみました。



…が、見事に撃沈(寝落ち)


そりゃ確かにサメデターと比べれば映像は圧倒的に綺麗だし、やる気がないとはいえ役者が出ているし、一応ストーリーや設定らしきものもちゃんとあるし、ゴアっぽいシーンもあるしでクオリティは段違いに高いですよ。サメデターが東京湾のヘドロを集めて固めた泥団子だとすれば、本作は蚊のハンバーグぐらいの味です。



しかし、逆にこう中途半端に体裁が整えられたクソ映画だとかえって楽しめないんですよね。「か…金をとってそんなものを診せようというのか!?」という戦慄がない。



本作で監督・脚本・主演全てをこなしているジョン・A・ルッソというおじいちゃんはゾンビ映画界では偉大な経歴をお持ちの大物だとのことですが、さすがに80歳ともなると耄碌してしまったのでしょう。その年齢で一人三役は無理がある。低予算映画に何より必要なハングリー精神はもうすでに枯れ果てており、それよりヒマを持て余したおじいちゃんの道楽のような生ぬるいオーラしか感じられません。



ゾンビが蔓延してから50年後の世界では、食欲を抑えて思考力を保ち、人間と同様に生活できるゾンビが現れるようになっていた。ゾンビのジョンおじさんはその代表格で、連日テレビで報道されて大人気に。しかしアンチゾンビのハンターがジョンおじさんを狙う!



…というストーリー自体はそれなりに楽しめそうなものではあるんですが。とにかくその年寄りくさい生ぬるさが眠気を誘って仕方がない。テレビでインタビューを受けては「私はゾンビになったが、まだまだ性欲は衰えていないんだ」みたいな下品なコメントを繰り返し垂れ流すジョンおじさん。



何か本人にもまだそういう欲望があってそれをアピールしたいんじゃないかと思えてくるのが微妙にキモい。途中から半分寝ながら観てたけど、ジョンおじさんが豊満な女性と楽しそうに戯れているシーンが悪夢的にたびたび混入されていた印象。ジョンおじさんが幸せそうで何よりですが、私は観ていて大変つらかったです。



その世界ではゾンビ演技学校なんてのがあって、そこに通うゾンビたちは「ウォーキング・デッド」に出演するのが夢なんだ…とか、そういうしょうもない小ネタがジョンおじさんのインタビューの合間合間につなぎ合わされている作り。アンチジョンおじさんのハンターが襲ってくるというスリリングな場面もあったっぽいのですが、私が寝ている間に終わってしまったので何とも言えません。よほどのゾンビ映画マニアでもない限り意識を保つのは困難を極める作品であろうと思います。


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