「モンスター 戦慄の最狂計画」 感想 ダンス教室は修羅の国

概要

原題:Taken too Far

製作:2017年アメリカ

発売:アマゾンプライムビデオ

監督:ポール・リンチ

出演:クリスティナ・コックス/ビヴァリー・ミッチェル/ジェナ・ウォーレン


ジャネットは、ダンス教室に通わせている娘サラの成功を強く願う母親だった。だが、同じ教室に通っている娘の親友メラニーの方がダンスが上手く、ジャネットにとっては目の上のたんこぶだった。ジャネットはダンス大会でメラニーを陥れるため、恐るべき卑劣な陰謀を企ててしまう…


予告編

感想




アマプラの新作テレビ映画。

ジャンル的には一応サイコスリラーかな?

と思いますが、このブログで扱う映画としては非常に珍しく誰一人死にません。


監督の名前はポール・リンチ。

え、ポール・リンチってまさかあのポール・リンチ…?

あの笑激の珍作「グリズリー・プラネット」でクソ映画マニアの間に一躍その名を轟かせたあのポール・リンチか…?





…いや、多分同姓同名の別人ですよね。



あらすじは上に記した通りですが、主人公ジャネットが途方もないほどのモンスターペアレンツです。いや、父親はマトモなので正確にはモンスター「ペアレンツ」ではないんですが、とにかくジャネットは娘サラを自分の思い通りに成功させるためなら犯罪をも厭わない超モンペとしかいいようのないスーパーサイコダンスママです。



ジャネットが娘のダンスコンテスト予選会に駆け付けるべくキャデラック・エスカレードで爆走迷惑運転しまくるオープニングから既にかなりの戦闘力を感じます。顔からしてちょっと某レスリング選手風味で強そうだし。こんな強烈なアメリカン・オバタリアンが主役の映画も珍しいですよ。予選会の結果でギャアギャア喚き散らす奥様方のケンカも実に恐ろしい。何なんですか、あの修羅の世界は? さすがにちょっと気になって調べてみたんですが、アメリカの教育熱心なダンスママは本当にあんな感じで狂気を滾らせているらしい。アメリカではダンサーの地位がそれだけ高いってことなんでしょうね。



ジャネットは「サラは何もない田舎で無意味な人生を送らない」とかほざいていましたが、ああいう人たちが実際にいるとすると、ダンスで脚光を浴びることだけが人生の意義だと思ってるんでしょうか。夫は弁護士で金持ちなんだからテキトーにやりたいことやってるだけでも充分幸せな人生が送れると思うんですがね。何もない田舎でもさ。それにしてもジャネットの「結婚する時、料理も掃除もしなくていいって言ったでしょ!」というセリフが力強い。ここまで開き直る専業主婦がいるとは…。もちろん仕事などもってのほか。娘にダンスをさせる以外のことは何もやりたくないらしい。しかも娘自身も別にダンスをやりたいわけじゃないときた。旦那は一体何の刑罰でこんなのと結婚させられたんだ?



ストーリーそのものはただ娘サラのライバル・メラニーを陥れて大会に出させないようにジャネットが画策するってだけなので、確かにモンペ的な狂気と陰湿さは滾っていますが、別に人を殺して食ったりするわけではないので大人しめな内容ではあります。それにジャネットの驚異的モンペムーブが前半の方に集中しており、後半はただの犯罪者でしかないので尻つぼみな印象がなくもない。まあマジメに物語をまとめた結果なのでいいことではあるんですが。


…ということで、子持ちのお母さまならまずまず楽しめる作品ではないかと思います。


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