「ウィッチサマー」 感想 予想外の角度から一撃入れてくる野心的魔女ホラー

概要

原題:The Wretched

製作:2020年アメリカ

発売:アメイジングD.C.

監督:ブレット・ピアース&ドルー・T・ピアース

出演:ジョン・ポール・ハワード/パイパー・カーダ/ジェイミソン・ジョーンズ/ツァラ・マーラー/ケビン・ビグリー


高校生のベンは母親と離婚し別居中の父がいる田舎町へとやってくる。ベンは隣に住むディロンという少年と知り合うが、彼は母親が変になったと怯えていた。ベン自身もディロンの母親の様子がおかしいと感じ、隣人宅を監視し始めるが、そうしているうちにディロンが行方不明になってしまう。


予告編

感想





アメリカ産の魔女ホラー。私はどうもホラーの題材の中でも「魔女」には魅力を感じない方で、だいぶ前の話ですが世間では大ヒットした「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」なんかもレンタル開始当時に期待に胸を膨らませて鑑賞したら恐ろしく驚異的につまらなくて、その後しばらく魔女ものとPOVものを毛嫌いしてたことがあります。おまけに「サム・ライミ絶賛!」ときた。これは「スティーヴン・キング絶賛!」と同じくらい当てにならない宣伝文句と言えます。



ということで全く期待せずに鑑賞してみたら、意外にも大変面白い。これはうれしい不意打ちです。本作の場合魔女と言ってもオカルト色がかなり薄めで、人体に寄生してくる汚いクリーチャーのような感じでした。これはかなり斬新な魔女像ですね。



内容は、田舎町にやってきたベンという高校生が、隣人の奥さんの様子がおかしいことに気づいて監視してたら隣人の息子ディロンが行方不明になってしまい、隣人宅の地下室を調べてみたら魔女の仕業と判明する…という話。



ベンはまず隣人宅に刻まれた魔女の紋章を見つけるわけですが、今の時代だとそれで画像検索しただけで伝承から何から全部すぐ判ってしまうのがホラー映画的にはちょっと物足りないところです。まあこれは別に本作に限った話ではないんですが。Googleはあまりにも万能すぎていけねえ。やっぱそこは古い図書館とか、もしくは街の外れに住む偏屈ジジイやババアに教えてもらうパターンの方が好きですね。



前半は別居している父と息子ベンの人間模様とか、バイト先でジョックスと対立してるとか、隣人を怪しんで探るなど、刺激も動きも少ない場面が多くて若干退屈ではあります。しかし、それもこれもクライマックスに向けての溜め。後半は予想外の角度から一撃入れられて呆然としました。完全に油断してたとはいえ、あれは本当に意識の外だった。こりゃあサム・ライミも絶賛しますわな。まあ「この映画には何かある」と思いながら観てたら気づいてしまうかもしれませんが、そういう見方はあまり幸せではないでしょう。映画を観る時はなるべく前知識なしで観ることが何よりも重要だと思いますよ。



…などと言ってしまうと、本作を観てないのにここを読んでしまった人にはちょっと悪い気もしますが、本当に面白い魔女ホラーなので興味がわいた人にはぜひご覧になって頂きたいですね。

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