「T-NET/タイムネット」 感想(ネタバレあり) リッキーだらけ

概要

原題:TimeLoop

製作:2020年イタリア

発売:チャンスイン

監督:チロ・ソレンティーノ

出演:サム・ギティンズ/ミノ・スフェラ/エリー・プソ/エリアナ・メンヴァティ/ミケランジェロ・ジェンティル


イタリアの田舎町で磁場の研究をしている父親に会いに来た科学者のリッキー。父親の頼みでロトを買いに行くが、何者かにスクーターを盗まれてしまう。リッキーがそれを話そうとすると父親に実験中のマシンの中に突き倒され、65分前の世界に戻っていた。父親が開発していたのはタイムマシンだったのだ。リッキーはスクーターの盗難を防ぐために走り出すが…


予告編

感想



さて今度は「TENET テネット」のパチモンです。

ただでさえパチモンにはろくなものが無いのに加え、配給会社があのチャンスインなのでどう考えてもおもしろいはずがない。


と思ったので素面ではツライだろうと酒を飲んで酔っ払いながら鑑賞したのですが、これは案外そこまで悪くなかったです。珍しいこともあるもんだ。



イタリアの風光明媚な田舎町を舞台に、タイムマシンを作ってしまった親父とその息子リッキーが陥るタイムループの罠。


かなりロジカルな時間SFですが、映像的には特にSFっぽいものはほとんどなし。あと、主役以外の出演者の演技力は結構酷いと思います。私はあまり気にしない方ですが。

以下ネタバレありです。



リッキーが町へお使いに行ったら大事なスクーターを盗まれてしまい、タイムマシンで65分前へ移動。その時空ではリッキーが2人存在するという事態になる。そしてスクーターの盗難を防ごうとするがあえなく失敗し、今度はなぜか親父が死んでしまったのでまた65分前へとタイムスリップ。すると、同じ時空で「お使いへ行くリッキー1号」と「スクーターの盗難を防ごうとするリッキー2号」と「親父を助けようとするリッキー3号」が同時に存在するという実にややこしい事態に。



こんな複雑な話をたった80分弱に詰め込んであるのだから酔っ払いの脳にはたまりません。こんがらがってしょうがない。チャンスインを信じて素面で観ればよかった。



要はリッキーが「スクーターの盗難を防ぐ」という過去改変をしようとタイムマシンを使ったのが全ての原因なんじゃないかと思ったんですが、元を正せばスクーターを盗んだ犯人がリッキー3号だったので卵が先か鶏が先かという問題に。これどうなってんの? よく考えると最初にタイムスリップする時、「スクーターの盗難を防ごう」という目的意識を持って過去に戻ったのではなく何が何だか分からないまま過去へ戻らされ、その後で「どうせ戻ったんならスクーターの盗難を防ぐか」と後付けで行動を開始しています。ループ物ではあまり見かけないお気楽さ。そんなんだから結局リッキー2号はスクーターの盗難を防ぐことが出来ず、次は親父の死を防ぐために再度リッキー3号として過去へ戻ることに。3号は親父の命がかかっているだけに真剣です。



しかし、ここでリッキー3号がスクーターを盗んでしまうのがよく分からない。なんでお前が盗るんだ。お前が盗らなかったらリッキー1号2号の行動が全然変わってくるんだぞ。逆を言えば1号2号の視点では「スクーターが盗まれた」という事実は確定しているので、いかにタイムスリップしても変えられないから自分で盗むことによって過去を改変することなく?スクーターを取り戻したってことでしょうか。すると最初に盗んだ奴は食料品店の男なのか? ああややこしい。



その後の親父の命を救うシーンも同じく、2号の目の前で死んだように見せかけて実はそうではなかった風に一芝居打つわけですが、じゃあそもそも最初に死んだのはどうしてなんだよ?という疑問が付きまといます。いきなり死を偽装する意味もないし、1回目は本当に殺されたんだと思いますが、理由がない。



どうもこの1号2号の時に張った伏線を回収する回答編とも言えるリッキー3号の足跡を観ていると、一応辻褄は合っているんだけど、いや辻褄を合わせるために行動しているマッチポンプという印象が拭えません。時系列的には3号が一番最後のはずなのに、3号の行動が1号2号の行動の原因になっている。その辺がよく分かんないなー。もう1回ちゃんと観れば分かるのかもしれませんが、さすがに2回観るほど面白くはないのでこの辺でやめときます。



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