「バッド・チェイサー」 感想 チェイスしてたか?

概要

原題:BIG SKY
製作:2015年アメリカ
発売:AMGエンタテインメント
監督:ホルヘ・ミッチェル・グラウ
出演:ベラ・ソーン/キーラ・セジウィック/フランク・グリロ/アーロン・トヴェイト/フランソワ・アルノー

広場恐怖症のヘイゼルは治療のため箱に入り、他の患者たちと車で療養所へ向かっていた。しかしその途中、何もない砂漠で待ち伏せしていた強盗2人組に銃撃されてしまう。付き添いの母が重傷を負わされ、ヘイゼルは広場恐怖症に耐えて助けを呼びに行こうとするが…

予告編


感想




広場恐怖症なのに徒歩で広大な砂漠を強盗から逃げながら助けを呼びにいかなければならない、っていうちょっとユニークなスリラー(?)。配給会社によると
狩るか、狩られるか、絶体絶命のサバイバル・アクション!
だそうです。



「広場恐怖症」って閉所恐怖症の反対で単純にひらけた場所にいるのが怖いってことなのかと思ってましたが、調べてみるとそうではなく電車やバス、エレベーターやトンネルなどすぐに逃げ出しにくい場所でパニック発作を起こしてしまうものなんだとか。言葉のイメージとはちょっと異なるようです。

本作の主人公ヘイゼルは広場恐怖症なのに広大な砂漠を歩く羽目に陥るわけですが、実はそこまでひどい逆境というわけでもなかったんでしょうかね。最初こそ溺れるようなパニックを起こしていましたが、結局は歩いて助けを呼びに行けたわけだし。

というか、そんなことよりこの映画のどうしようもないつまらなさが我々観客にとってとてつもない逆境なのが問題です。やたらとダラダラダラダラしていてどこにもスリルもサスペンスもアクションもない。一応頑張って頑張ってなんとか最後まで観ましたが、後半は朦朧としてほとんど意識を失ってました。

宣伝によると「映画史に残る”追撃”サバイバル・アクション」とのことなんですが、そもそも強盗団は本当にヘイゼルを追っていたのか?そんなシーン一つもなかった気がするんですが。本気で追ってたらあんなモタモタ歩いてる女の子一人簡単に捕まえられただろうし、多分サボってたんでしょう。


ヘイゼルは砂漠を歩いてる途中、通りすがりの変な男に声をかけられます。あんな誰もいないような広大な砂漠でたまたま通りすがりの人と出会う確率は一体どのくらいだろうか。で、そいつはバイクで来たというので乗せてもらおうとついていくヘイゼル。しかし、その変な男はバイクをバラバラに分解してしまっていたっていう。特に理由も無く、砂漠のど真ん中で。一体何をしてんだ。行動も展開も全く意味が分かりません。尺稼ぎでしょうか?

この映画、登場人物がヒマそうなんですよね。特に車に残った強盗犯が。映画だから90分持たせないといけないけどそんなにやることねえやっていう投げやりな感じがします。あまりに退屈すぎて、これももしや文芸映画の一種なのでは?という気がしてくる。そういう気取ったムードがないこともない。「これは少女の葛藤を暗喩を用いて描いた文芸映画なんだよ?表面的にはつまらなくて当然だよ?」みたいなことを言われているようで実に不愉快です。まあ少なくとも娯楽映画ではありません。本作は2015年公開ですが、さすが5年も日本の配給会社に放置されていただけあります。

こんなモンをサバイバル・アクションなどと謳って今更ソフト化する理由が見当たりませんが、もしかするとコロナ鍋のせいで新作映画の供給が滞り気味だから仕方なく不評だった過去作を掘り起こしてきたのかも?と考えると多少同情できなくもない。
が、つまんないものはつまんないとしか言いようがありません。

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