「残された者 北の極地」 感想 極寒の地で生き延びるために

概要

原題:Arctic
製作:2018年アイスランド
発売:ハピネット
監督:ジョー・ペナ
出演:マッツ・ミケルセン/マリア・テルマ・サルマドッティ

飛行機事故で北極に不時着し、一人で生き延びてきた男オボァガード。壊れた飛行機を住処に魚を釣り、救難信号を出しながら淡々と生活していたが、ついに救助のヘリがやってくる。しかし強風でヘリは墜落、パイロットの女性が重傷を負ってしまう。彼女を救うため、オボァガードは住処を離れ観測基地へ向かうことを決意する。

予告編





感想






今日は珍しくミニシアター系のめちゃくちゃ地味なサバイバルドラマ映画を観てみました。最近アマゾンがなかなか謎映画を配信してくれないから他に観るものが思いつかなかったんですよね。私は映画は大衆娯楽であるべきだと考えているのでこういう娯楽性に欠けるシリアスなドラマは本来守備範囲外なんですが、ブログのタイトル通り死ぬほど寒い地域に暮らしている人間としては「極寒地での極限サバイバル劇」という題材にはそれなりに惹かれるものがありました。自分だっていつそういう極限状況に置かれるか分かりませんからね。少しは参考にしておいた方がいいかなと。

ちなみにこの映画の舞台は平均マイナス30度とのことですが、私が住んでいる地域も真冬はマイナス25度近くまで下がったりします。冷静に考えると相当ヤバイ。極限状況以外の何物でもありませんね。なんでわざわざこんな難儀なところに住んでいるのか自分でも時々分からなくなることがあります。いや、若い頃は寒くても平気だったから疑問にも思ってなかったんですが、オッサンになった今になってちょっと後悔してるっていう…。しかし今更出ることもできん。



…映画の話に戻ります。最初はオボァガードというヒゲ面のオッサンが北極で一人寂しく淡々と生きてる様子が映し出されるわけですが、意外と辛そうでもないんですよね。いや北極だから寒さはキツイんだろうけど、一人ぼっちで魚を釣りながらダラダラ暮らすっていうのも実はストレスが少なそうな生活に見えなくもない。私もわずらわしいストレス社会から逃れて無人島で一人孤独に生活してみたいもんです。ちょっと体調崩したらすぐ死んでしまいそうだけど。

で、そこに救助ヘリがやってきて強風で墜落し、オボァガードが瀕死の女性パイロットを逆に救助する羽目になります。こういう映画を観る時はいつも「自分にも同じことができるか?」という視点で観るんですが、この辺から早速怪しくなってきます。腹部の裂傷をホチキスでパチパチと塞いでいくのがもう無理くさい。これ映画だとみんな簡単そうにやるけど、私がやるとわけわからん留め方して余計ダメージを与えてしまいそうで怖いんです。

瀕死の女性を抱えたままそこで生活を続けることはできないので、オボァガードはヘリに積んであった地図に載ってた観測基地を目指して旅に出ます。人はやっぱり一人ではいけないのだ、他人といてこそ生きる目的ができるのだというメッセージがちょっと心に刺さります。一人でダラダラ生きるのも悪くないと思うんですがね。

本作はエンタメではないと言いましたが、この辺からオボァガードに襲い掛かってくる苦難の数々はそこそこエキサイティングではあります。特にホッキョクグマが襲ってくるシーンは非常に素晴らしいですね。エキサイティングですね。あれは実物で撮影しているんでしょうか。よく考えたらホッキョクグマが襲ってくる映画は見たことがなかった。アニマルパニック映画史的にも貴重な作品と言えます。

数々の苦難を乗り越えた後に訪れるラストも感動的だし、これは観ておいてよかった。別に何かの参考になったわけではありませんが、それでも良い映画でした。

コメント