「レプティリア」 感想(ネタバレ) ムチャをしてこそ人生

概要

原題:CROCODILE
製作:2000年アメリカ
発売:JVCエンタテイメント
監督:トビー・フーパー
出演:マーク・マクロウクリン/ケイトリン・マーティン/クリス・ソラリ

ブレイディとクレアは友人たちと共に南カリフォルニアのとある湖へと遊びに来ていた。そこはかつて巨大ワニを崇める邪教のはびこる地域であった。だが、その巨大ワニは今もまだ生きていた。ふざけ半分でタマゴを割ったブレイディたちを狙い、伝説の巨大ワニが姿を現す。

予告編




感想


ちょっと前にプライムビデオにヘビ映画やワニ映画の旧作がいくつか追加されていました。「メガスネーク」とか「キング・スネーク殺人大蛇」など見たことあるようなないような微妙なやつばかりだったんですが、その中で異彩を放っていたのがこの「レプティリア」です。


というのも、本作は監督があのトビー・フーパーなんです。フーパーのワニ映画なら言わずと知れた怪作「悪魔の沼」がありますが、まさか他にもワニ映画を撮っていたとは恥ずかしながら全く知りませんでした。フーパーがそんなにワニ好きだったとも聞いたことがない。こんなんレンタル屋でも午後ローでも見たことがない。調べたところ本作は劇場公開作ではなく、NU IMAGE社製作のオリジナルビデオ作品とのこと。だから巨匠フーパーの作品なのにマイナーなんでしょうね。


しかし、内容の方は全く持ってボンクラ極まりないです。
きったねえ湖というか沼に集まって酒飲んで騒いで泳いで痴話喧嘩しているアホな若者共が、巨大ワニに襲われて喰われる。基本的にB級アニマルパニックのテンプレートをなぞっているだけなんです。

まあ、ワニのハリボテは非常に良く出来てるし、喰われてるアホが足をバタバタさせながら飲み込まれる絵面なども悪くなくてそれなりに楽しめますが、巨匠の撮った作品にしてはあまりに凡庸すぎる。しかもワニは時々CGになるんですが、ハリボテに比べて著しくショボイ。若者グループは人数が多いわりになかなか食われなくてテンポが悪く感じる。と、あまりいいところがありません。いや、これでもワニ映画という枠の中では上位クラスではあるんですがね。

ほんとにこれがトビー・フーパー監督作なの? 同姓同名の別人じゃないの? と思いましたが、どう見ても本人でした。

ただ、ラストだけは感心させられましたね。
どんな極限状況でも虫に刺されたくないと虫よけスプレーを噴射しまくっていたアホがワニに飲み込まれるんですが、あまりにも臭くて吐き出されて助かるっていう。さらに、タマゴから生まれた赤ちゃんワニを母ワニにそっと返したら黙って去ってくれてメデタシメデタシ。こんな脱力感溢れるラストを決めたアニマルパニック映画は他に知りません。ここはさすがに巨匠の意地を見せたってところでしょうか。フーパーファンを集めて「悪魔のいけにえ」とセットで上映してみたい。そんな感慨を抱かせる愛すべきボンクラワニ映画でした。

コメント