「アニマル・パージ」 感想 武装警官隊 vs. シャム猫

概要

原題:URBAN JUNGLE
製作:2016年フランス
発売:ニューセレクト
監督:ニコラス・デュヴァル
出演:ロメイン・ポーテイル/トム・ハドソン/ゾーア・ウェクスラー/ピーター・ハドソン/マクセンス・セヴァ/ピーター・メイセル

ある日、動物園でホワイトタイガーが飼育員を襲う事故が発生。動物行動学の権威アリックスは閉園するよう求めるが、欲にまみれた動物園長はそれを握りつぶして開園。しかし、ホワイトタイガーの襲撃は序章に過ぎなかった。動物園全ての、いやペットから野生動物から全ての動物が凶暴化し、人類を襲い始めたのだ。



予告編



感想

いつか聞いたことがある。

仮に……
人類と猫が
檻の中で
闘ったなら…

実戦空手の父―――――――
大山倍達 答えて曰く

”ヒトは
日本刀を持って
初めて対等と
言えるだろう”

(↑「範馬刃牙」より引用)

最初これを読んだ時、いやいやさすがにそれはないよ…っていうか大山倍達は本当にそんなこと言ったの?
と突っ込みながら笑ってしまったものですが、
本作は日本刀どころの騒ぎではありません。





                                                    VS.




なんと上の画像のように銃やプロテクターで武装した屈強な警官隊が、こともあろうに凶暴化したペットのシャム猫に対して成す術もなくバタバタと倒されていくんです。凶暴化って言っても別にパワーアップしたわけではないはずなんですが。シャム猫って本気を出したらそんなに強かったのか。


タブレットでマンションの3Dマップを見ながら慎重に進む武装警官隊。
物陰から目にも留まらぬ速さで襲い掛かり、警官たちの首筋に噛み付いてくるシャム猫。
これは「エイリアン2」に匹敵する緊張感と恐怖感であると言わざるを得ない…



…という冗談はさておき、本作は大変良く出来たアニマルパニック映画です。
こういうのでいいんだよ、こういうので。

72分とかなり短めの尺の中に、トラ、アルパカ、カラス、ハト、イヌ、ネコ、オオカミ、ハゲワシ、ネズミ、クモ、ヘビ、クマ、ワニ、ゾウ、ゴリラ等々多種多様な動物たちが思う存分人間を襲い喰らう様子を満遍なく堪能させて頂けます。しかも出来るだけCGの使用を控え、なるべく実物を使うように心掛けているようです。クモやゴキブリがウジャウジャ家の中で徘徊しているシーンなんかも本物に見えます。こいつは素晴らしい。

しかし、例えばカラスやハトなんぞに凶暴化した演技をしろと言うのも無理な話ではあります。でもパニクって逃げ惑う人間たち。それはそれで大変シュールでいい感じです。


これはもうアニマルパニック好きには堪えられない面白さ。
ただ、キリンが襲ってこなかったことだけが悔やまれますね。
まあ、そこは来月リリースの「ズーンビ ネクストレベル」に期待するとしましょう。


ストーリーはあってないようなものですが、悪辣な動物園長が序盤に出たっきりでその後なんの制裁も受けずフェードアウトしたのは引っかかりましたね。
しかしその後さらに悪辣な市長が出てきて、主人公の動物学者アリックスや動物愛護団体に対して


「私の支持者を脅かす動物は即刻殺処分だ!」


と言い放ったのはなかなか良かった。
やはり市長たる者はこうでないといけません。


…のですが、こいつもその後フェードアウトしてしまうのはいかがなものか。悪役は喰われてこそ輝くものだというのに。アメリカ映画だったらこんな園長や市長を放置することは絶対ありませんよ。そこをあえてスルーするのがフランス流なんですかね。

フランスと言えば、本作のオチは「なんだそりゃ!」と叫びたくなる虚無感に満ちています。王道エンタメアニマルパニックでも、何か変なひねりを入れないと気が済まないお国柄、それがおフランス。


…ということで、アニマルパニック好きには非常にオススメです。

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