「ウォー・オブ・ザ・ワールド(2025)」 感想 アマゾンは神

概要

原題:War of the Worlds

製作:2025年アメリカ

配信:Universal Pictures

監督:リッチ・リー

出演:アイス・キューブ/エヴァ・ロンゴリア/クラーク・グレッグ/イマン・ベンソン/ヘンリー・ハンター・ホール


国土安全保障局でテロ対策に勤しむウィルは、今日もあらゆる監視カメラにアクセスできる特権を使って家族をストーキングしていた。そんな時、宇宙から無数の隕石が落下。世界中がパニックに陥る様を見て唖然とするしかないウィル。さらに驚くべきことに隕石が巨大な殺人マシンに変化し、周囲を破壊し始めた。


予告編

感想




手垢のついた古典「宇宙戦争」「Search/サーチ」のようにパソコン画面上だけで展開する意欲的な試みがなされた作品。もう何回も使われてるからそれほど意欲的でもないか? パソコン画面だけで退屈させないように気を使ってるんだとは思いますが、全編通してやたらテンポよくチャキチャキ進みすぎるせいで緩急が効いておらず単調なのは気になりました。



世間では 「地球侵略されているのにアイス・キューブが画面の前でリアクションしているだけ」「史上最悪の映画という言葉は気軽に使うべきではない。なぜなら本作のような存在を薄れさせるからだ」などとボロカスに酷評されまくっている模様。



意欲的な試みとは言っても結局単なる縛りプレイとも言えますからね。何でもアリの映画に比べたらただ不利なだけでしょう。1発ネタなら驚かれても、繰り返せば飽きるし別にスキーム化するほどのもんでもない。



とはいえ、私は本作を「ゾンビ・オブ・ザ・デッド」「ゲームマスター」の直後に観たので非常に金のかかった超A級娯楽大作に感じられました。まあ、確かに本作はパソコン画面を見てリアクションしているアイス・キューブの顔が大部分を占めているのですが、そのリアクション元はトライポッドがスペクタクルに暴れまくるド迫力映像なのであの辺のZ級映画に比べれば全然楽しめます。



ただ、トライポッドの狙いはエサとなるデータセンターであり、みんながそこに食らいつく展開はちょっと微妙。そんな目的があるならあんなに派手に侵攻してくる必要がないし。



まあ侵略者は地球人をナメていたからだとか、データ食う前はアホだったからとかの理由で納得できなくはないけど。何のひねりもなく誰でも思いつくオチなども含めて全体的に細部は適当に処理してる感はありますね。



というか、侵略者よりもまず主役のアイス・キューブが異常におかしい。NSAだかDHSだかの職員で、どこのWebカメラでもドローンでもテスラでも何でも自由にハッキングし放題。それはまあいいとしても、公私混同して平時から家族をガッツリ監視して過干渉しまくっている様は極めて悪質なネットストーカーと言う他ない。こんなやばい奴にそんな権限を与えていいのか? あんなクソ親父がいたら私なら海外に逃げ出してますよ。



この手の侵略モノを「家族の物語」にするのは定番の手法ですが、パソコン画面縛りにこだわるあまり公僕職権乱用ネットストーカーを正当化するのはいただけない。最終的には家族の絆が決裂し、ネット回線も切れてしまってヤケクソになったアイス・キューブが敵のマザーシップか何かに自爆特攻するくらいのオチが必要だったんじゃないかなと思いました。




「ウォー・オブ・ザ・ワールド」(Amazon Prime Video)




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