「ストレンジ・ネイチャー」 感想 ダブルヘッド・ドッグ

概要

原題:STRANGE NATURE

製作:2018年アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:ジム・オジャラ

出演:リサ・シェリダン/ブルース・ボーン/ジョナ・ベレス


元アイドルのキムは、父親が肝臓ガンになったのを機に幼い息子を連れて田舎へ帰ることにする。そこで奇形のカエルが大量に発生していることを知ったキムは、地元の科学教師と共に原因を調査。農家が使っている農薬が疑わしいことを突き止め市長に訴え出る。だが、その農薬メーカーは町の経済にとって欠かせない企業だった…


予告編

感想



アマプラ配信の新作謎映画。

今回は「奇形カエルが大量発生!この町で何が起きているのか!?得体の知れない恐怖が田舎町を襲うエコロジカル・ホラー!」だそうです。エコロジカル・ホラーとは見慣れない文面ですが、めちゃくちゃ面白そうですね。ということで299円課金して鑑賞してみました。年始の1発目くらいは面白い謎映画を引き当てたいものです。すると…





ま…またおまえか!!

うーん…キャンセルしたい…

…が、再生後では受け付けてくれないので仕方なく続行。



田舎へ帰ってきた元アイドルのキムとその息子を出迎えるのは、ボットン便所(大)から出てきて手も洗わずに握手を求めてくる衛生観念ゼロの汚いオヤジ。「手を洗え」と言われても手にツバを吐いて拭うだけ。汚物に汚物を重ねてどうする。オープニングからこんなんで大丈夫なのか…?



と心配したんですが、「これが本当にあのitnか!?」と疑うくらい真っ当な出来で驚きました。itn作品の中ではトップクラスと言っても過言ではない。大量に発生する奇形カエルの謎を追う展開に、お約束のように背後にいる環境汚染巨大企業とそっち側にいる市長。キムは売名行為だ何だと叩かれながらも息子やご近所さんのために原因を追究する。分かりやすくて助かります。



ただエコロジカル・ホラーというよりエリン・ブロコビッチ的な(見てないけど)マジメな社会派サスペンスのように見えます。農薬を調べるために踏み込んだ近所の農家が重度のケモナー趣味を隠し持つ変態だったところぐらいしか笑いどころはありません。奇形のカエルがどうのと言っても別にカエルが襲ってくるわけではないし。



それよりは奇形化した住人が迫害される苦しみ、正常な住民からも生まれ始める奇形の赤ちゃんなど徐々に浸食してくる環境汚染の被害と差別主義者の醜さで見せてきます。本当に真面目な社会派映画のようです。



…と思ったんですが、クライマックスでは環境汚染が産んだ脅威のモンスター・双頭の犬が出現。ジャケ絵(サムネ)詐欺かと思ってたらそうじゃなかった。ちゃんと出てきた。しかもかなり迫真の描写で警官たちをモリモリ喰らってくれるので、モンスターパニック大好きな私も大満足。こいつはなかなかのレア・モンスターですよ。まあ、可哀想な存在でもありますが。



また、奇形のカエルや赤ん坊だけでなくこの双頭の犬もかなり造形は凝っており、どいつもこいつもクオリティは高いです。中でも一番インパクトがあるのはエンディングで映る”目”でしたね。何だかんだ悪徳企業の陰謀についてはうやむやで終わったような気がするけど、それ以外の面では満足度の高いエコロジカルホラー映画でした。



「ストレンジ・ネイチャー」(Amazon Prime Video)


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