「ムーンシャーク」 感想 月光に輝くソ連の悪魔

概要

原題:Shark Side of the Moon 

製作:2022年アメリカ

発売:アルバトロス

監督:グレン・キャンベル/タミー・クライン

出演:マキシ・ウィトラク/エゴ・ミキタス/タニア・フォックス/マイケル・マルセル


1984年、冷戦中のソ連はアメリカに対抗するためサメを兵士化した生物兵器”ハイブリッド・シャーク”を開発。だが、HVシャークは暴走し、研究所から脱走してしまう。セルゲイ博士は彼らをシャトルへ誘導し、月へと向かうことで地球を救ったのだった。

そして40年後、月へ向かったNASAの宇宙船が何者かに襲われ、月の裏側へ不時着するが…



予告編

感想




アサイラムのトンデモおふざけSF(サメ・ファッ〇ン)映画。

最近のアサイラムはリアル系の大人しく地味なサメ映画ばかりリリースしてましたが、やっぱりこういうネジの飛んだやつの方が断然イイですね。リアリティなどくそくらえ。あり得ない設定、あり得ない展開、あり得ない絵面を連発してこそ狂気のクソ映画製造機アサイラムと言えるでしょう。



そういう意味では本作は実に素晴らしいです。全編に渡ってツッコミどころしか存在しないと言っても過言ではない。一番アレなのは月面なのにフツーに生身で行動する人間たちの描写でしょうか。鼻の穴になんか管を突っ込んでいるけどもそういう問題じゃないだろうと。宇宙をなめすぎだろうと。ハイブリッドシャークがそんな風に月面をテラフォーミングしたとか何とかひとこと言っておけば良いものを、そんな細かいことはどうでもいいとばかりに突き進むいい加減さがたまらない。



とは言いつつ月面の重力が弱いってことだけは気にしているようで、人類とハイブリッドシャークの戦いはふわふわトロトロのまったりアクションになっています。何という脱力感。都合のいいとこだけリアリティを重視しており、SFアクションとしてはクソの極みと言うほかない。ただ、ジャケ絵を見ても分かる通り(驚くべきことにジャケ詐欺ではない)ハイブリッドシャークがとても可愛らしい外見になっているので、非常にほのぼのとした気分にはなれます。ハイブリッドシャークも地球へ行ったら侵略どころか重力がキツくてろくに動けなくなるんじゃないのかな。



基本的にはごっこ遊びの如きトホホ感が目につきまくるものの、スペースシャトルや月面基地、ハイブリッドシャークのCGなど一部は(他作品の流用もあるのか?)異常によくできており、そのチグハグさが本作のカオス度をさらに高めています。普通のクソ映画ならハイブリッドシャークは被り物で表現するところじゃないでしょうか。なんでこんな高品質なCGを使えるのか実に不思議です。いや、アサイラムも本気でやればシャークネードみたいな真の傑作が作れるはずなんですけどね。



地球へ帰る方法のぶっ飛びさ加減は一見製作者の正気を疑いたくなるほど馬鹿げたものですが、よくよく考えてみるとシャークネード・エクストリームミッションでも同じネタを使っていました。まあ、宇宙でサメと来たらあれをやりたくなるのも分かりますが、シャークネードよりはインパクトが若干弱めだったかなと。月からの帰還なのでシャークネードよりはるかにスゴイはずなんですがね。ただ、その後はバッチリ正気じゃないオチでポカーンとさせてくれるので、カテゴリー2ばりにパワーアップした続編を期待しておきたいと思います。



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