「ラスト・クリーク」 感想 カーナビと田舎の保安官を信じてはいけない

概要

原題:RUST CREEK

製作:2018年アメリカ

発売:プルーク

監督:ジェン・マクゴーワン

出演:ハーマイオニー・コーフィールド/ジェイ・ポールソン/マイカ・ハウプトマン/ショーン・オブライアン/ダニエル・R・ヒル


大学生のソーヤは、就職面接のためワシントンへ車を走らせていた。だが、スマホナビのポンコツな案内のせいで田舎で道に迷ってしまう。道端で地図を広げていると、怪しげな地元の男たちに声を掛けられ、襲われる。走って逃げだしたソーヤは、麻薬製造を行っているトレーラーハウスに匿われるが…


予告編

感想




就職面接に向かっていた女子大生のソーヤが、デタラメなナビのせいでド田舎で迷ってしまい、たまたま出くわした無法者たちに森で追われる羽目になるという話。よくある田舎ホラー的なシチュエーションですがジャンル的にはホラーとかでは全然なく、むしろ非常にマッタリしておりヒューマンドラマ寄りだったかなあと。ジャケ詐欺とは言わないけど、このジャケットから想起されるイメージとは大分印象が異なりました。尺は1時間47分とかなり長めですが、まあそこそこ退屈せずには楽しめます。ただ、やっぱり非常に地味。アクション・スリル・グロ等のような刺激的な要素はかなり薄めです。



まず、最近のスマホナビであそこまで変な道案内されるか?っていう疑問はあります。アメリカの田舎道なんてそんなに入り組んでるわけもなかろうし。仮にナビが役に立たなくても、紙の地図を広げるよりはグーグルマップを見た方がマシなんじゃないかなと。


道端で紙の地図を広げていたらさっそく地元の無法者に絡まれてしまう展開。話が早くて良いとは思うものの、あまりにスピーディすぎてまた田舎のイメージが悪化するんじゃないかと心配になってきます。なんせ田舎に行っては禄でもない目に遭う映画ばっかり散々見ているもので、もうすっかりアメリカの田舎とはそういうモンだと常識のように刷り込まれてしまっている。最近のアメリカ映画はポリコレだなんだとうるさいのだから、田舎にもいいところはあるんだよという描写もしてバランスをとってあげた方がいいのではないか。もうとっくに手遅れか?



…などと思っていたら、ソーヤがまた別の善良な田舎者に助けられて匿われるという展開になり、驚きました。これも「ストーカー 3日目の逆襲」とか「ディア・スナイパー」のようにひたすら森の中で単独でサバイバル&無法者との戦いを強いられる話だとばかり思っていたので。しかもその助けてくれた田舎者とのやりとりで育まれる絆のようなものがこの映画の主題となっているようで、そこら辺の尺が長くて実にまったりしている。人との出会いは化学反応、誰と出会ってどう変わるか分からないから人生面白い、みたいな。一歩間違えばただかったるくなってしまうところですが、その善玉の田舎者も生業は麻薬製造であり、ソーヤを追ってくる無法者たちの取引相手であるという点でまだ若干の緊張感は残されています。



こういう「田舎へ行ったらえらい目に…」系の話ではド定番ですが本作もまた保安官が無法者とグルになっており、裏でうまい汁をジュルジュル吸っております。どの映画を見てもあまりにも毎回こうなので、現実にアメリカの田舎で保安官と遭遇しても信用できなくなりそうでアレだ。普通だったらこの保安官と無法者に見つかってからが本番、クライマックスになるところですが、本作ではそこはかなりあっさり目に済まされるので少々物足りない。せっかくあの優しい田舎者と仲良くなれたのにこうもサックリ処理されてしまうと虚しさしか残らなくて少々もったいない気がします。


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