「サランドラ」 感想 磯野家 vs 食人鬼一家

概要

原題:THE HILLS HAVE EYES
製作:1977年アメリカ
発売:TCエンタテイメント
監督:ウェス・クレイヴン
出演:スーザン・レイニア/ロバート・ヒューストン/マーティン・スピアー/ディー・ウォーレス/ラス・グリーヴ

元警官のボブとその一家は、ワゴン車で旅行中に荒野で事故を起こし立ち往生してしまう。すると、荒野に潜む食人鬼たちが襲い掛かってくるのだった。

予告編



感想





1977年製作、日本では1984年公開のちょっと古いホラー映画。
ずっと前から観よう観ようと思ったままおそろしく長いこと放置してたんですが、この度プライムで無料配信されたのでやっと観る気になりました。ちなみにリメイク版の「ヒルズ・ハブ・アイズ」はDVDを所有しており結構好きな映画です。


「サランドラ」は本編の内容よりも、東宝東和のとんでもない誇大広告の方がずっと有名なんですよね。私も元々その逸話を聞いて興味を持ったクチで。

「戦慄のジョギリ・ショック!」
とか聞いたこともない変な凶器を大々的に吹聴しておいて、わざわざ劇場に実物のジョギリを展示までしてたのに本編にはそんなもの影も形も出なかったから怒った観客に叩き壊されたとか、

「全米38州で上映禁止!」
と騒いだものの禁止っていうか大して面白くないから上映されなかっただけとか、

「あまりの衝撃に失明者続出!この映画には失明保険がかけられています」
だなんてこれ以上ないほど大げさな煽り文句で煽りに煽りまくっていたという…

大体「サランドラ」っていう邦題も大概意味不明ですしね。あの時代は「ゾンゲリア」だの「ザンゴリラ」だの「ゾンバイオ」「サンゲリア」だのと語感重視のわけ分らん邦題が流行ってたなあ。

この頃の東宝東和の無茶苦茶ぶりに比べたら、今のアルバトロスやアメイジングDCなどカワイイもんです。しかし「サランドラ」みたいな映画が大々的に劇場公開されてた時代が懐かしいというかうらやましいというか…。今じゃホラーなんてろくに劇場公開されないから誇大広告を出してもらうことすらできませんからね。今あるのはケチ臭い詐欺ジャケだけ。


で、内容の方ですが、旅行中に荒野で立ち往生してしまった一家が、そこに住むソニー・ビーン一族みたいな奇形食人鬼一家に襲撃されるという話。ウェス・クレイヴンが「悪魔のいけにえ」に対抗して作った田舎ホラーといった趣き。

ただ、やっぱり公開当時不評だっただけあって何だかいまいちダラダラしてるうえに刺激もあんまりない。いや、そんなに悪くはないんだけどすごく地味なんですよね。東宝東和も買い付けてから7年間もお蔵入りにしていて、80年代のホラーブームが来てようやく公開する気になったと言うくらい地味。一番ショッキングなシーンが小鳥を殺して生き血を飲むところでした。そういやリメイク版だとセキセイインコの踊り食いとかしてたな…。


他に特筆すべきは、主人公の一家がサザエさんと同じ家族構成だということですね。
磯野家はあれだけ日本人にとってお馴染みの存在でありながらかなり特殊な家族構成なので、それと同じような人たちを見せられるとなかなかインパクトがある。まんまアメリカ版磯野家なんです。しかもそんな人たちが食人族と凄惨な殺し合いをやらかすのだからたまらない。…と言っても本作はそんなに凄惨でもないんでアレですが。食人族よりカツオの飼ってるシェパード犬の方が圧倒的に強いんですよね。これだけ犬が大活躍するホラー映画も珍しい。

あと、あまりにも唐突すぎるエンディングには驚き。
あのタイミングでいきなり「THE END」って。
この後どうなったかなんてもうどうでもいいよな?っていうかこの映画自体どうでもいいだろ?って言われてるぐらいの投げやり感。
潔いと言えば潔いが。

コメント

切り裂きシンザ さんの投稿…
自分の感想を読み返すと多少おかしな行動はあるけど悪くないって書いてましたね。当時の煽り文句は知りませんでしたが確かに酷いw リメイクの「ヒルズ・ハブ・アイズ」は未見ですので是非見てみたいと思います。
岩石入道 さんの投稿…
あの宣伝を知らずに観ていたとはw でも先入観がなければそこそこ悪くない出来ではありますよね。リメイク版はオリジナルに忠実なのにスピード感と残酷度が遥かにアップしていて面白いのでかなりお勧めです。