「ゲット・イン」 感想(ネタバレあり) 豚王の最期

概要

原題:Furie
製作:2019年フランス・ベルギー
発売:熱帯美術館
監督:オリヴィエ・アブー
出演:アダマ・ニアン/ポール・アミ/ステファーヌ・カイラール/ユベール・デュラットル

バカンス中にベビーシッターに自宅を貸していたらそのまま占拠されてしまったポール。弁護士を雇い法的に返却を求めるが、なぜか失敗。もめ事まみれで妻子との間にも亀裂が入ってしまう。そんな時、ポールはキャンプ場でミッキーという男と出会い、酒やドラッグに付き合わされヤケになっていく。そしてミッキーは占拠されたポールの家を襲撃してしまう。

予告編



感想




「ゲット・アウト」とは何の共通点も無いのに何となく便乗してみました感のある邦題。フランス・ベルギー製のジャンル不明な映画です。
「豚の王が来る。最悪の王が」って宣伝文句の意味もよく分からない。豚マスクのチンピラはいましたけど。
配給の「熱帯美術館」という会社は初めて聞きました。
これもアート系の映画ってことかな?



バカンス中にベビーシッターに自宅を貸していたら、帰って来ても居座り続けて返してくれなかったという理不尽な導入。本作は実話ベースとのことなので、後半はともかくここは本当にあった出来事なのでしょう。ベビーシッターがアパートを追い出されたから親切心で家を貸してあげたのに恩を仇で返された形。

なんで返してもらえないのかあまり詳しい描写はないのでよくわからんのですが、フランスの司法とか役所があまり頼りにならないのは伝わってきます。なんか覚書に返却規定が無かったのが悪いらしいが、だからってローンも住宅税も払ってるのに自宅が占拠されたまま取り返せないというのは理不尽極まりない。

千歩譲って家は合法的に奪われたとしても、持ち物の所有権まで渡ってるのはおかしいのではないか。ペットのインコすらベビーシッターとその夫のものになってます。これは許せない。というか、こういう映画でインコ出してほしくないんだがなあ…なんかロクでもない目に遭わされそうでインコ好きとしては嫌なハラハラ感があるんです。

で、ポール一家はキャンプ場で寝泊まりすることになる。そこで出会うのが妻の元彼のミッキー。ポールはコイツによってアンダーグラウンドな世界に引き込まれていく…っていう話なんですが、やることは水を満たした電話ボックスに入って酒の一気飲みとか。
それって何が楽しいの?
アングラじゃないと出来ない遊びなの?
…と思うんですが、まあそんなんでストレス解消になるなら好きにしたらと言う感じです。

アングラでも暴力性を抑えきれないミッキーはキャンプ場に飽きたという理由で占拠されたポールの家へ殴り込み、暴虐の限りを尽くします。それを防ごうとしたポールもだんだん自分の凶暴性を抑えきれなくなってきて…という、何かこうインテリ人間に隠された本性を暴く系のバイオレンスドラマのような感じになっていくのですが、私はそんなことよりポール邸で飼われているインコの方が心配なんです。

と思ったら、遊び半分であっさりと火をつけられて燃やされてしまうインコ。どうせロクなことにならんだろうなと思ったら案の定これだよ。それにしてもやり方が最悪です。凹みました。人間が燃やされようが切り刻まれようが別にどうだっていいけど、インコが酷い目に遭うシーンだけは胸糞悪さが半端ないから見たくないというのに。ただでさえ胸糞悪い映画だから胸糞の2乗ですよ。


…まあそれは置いといて、ポール宅を占拠したベビーシッターとその夫がギタギタにされたところだけは素直に爽快でしたね。ポールは一応止めようとしてたっぽいですが、私がポールの立場だったらミッキーたちと一緒になってぶちのめしていたでしょう。それぐらい憎たらしい人たちだった。

あとは豚の王ミッキーとポールの対決ですが、もうその辺はどうでもいいかなと…。面白くなくはないけど、理不尽なシチュエーションを延々と見せられ、インコが燃やされるのを見せられ、とかなりストレスフルで疲れる映画でした。

コメント