「ブレイキング・イン」 感想 母が強いのか、強盗が弱いのか

概要

原題:BREAKING IN
製作:2018年アメリカ
発売:ハピネットピクチャーズ
監督:ジェームズ・マクティーグ
出演:ガブリエル・ユニオン/ビリー・バーク/リチャード・カブラル/エイジオナ・アレクサス/セス・カー

亡くなった父の遺産を整理するため、湖畔の別荘にやってきたショーン。しかし、そこで金目当ての強盗4人組と鉢合わせてしまう。彼らに子供2人を人質に取られてしまったショーンは、単身で強盗団に戦いを挑む。

予告編




感想


子供を人質に取られた母親が、一人で強盗団と対決。

「母は強し」という言葉がありますが、それとは多分ちょっと違う意味で物理的に強い母親が活躍するアクション映画です。ちょっと前に観た「ライリー・ノース」もそうでしたが、アクション映画の主役を肝っ玉母さんにするパターンが確立されつつあるようですね。どういう層に訴求してるんでしょうか。もしかして主婦向けなのかな。

しかし、「ライリー・ノース」も本作もただ主役を母親にしただけでオリジナリティについては満足してしまったようで、それ以外の要素が何もかもフツーすぎてひねりも深みも何もないです。これは大変物足りない。まあ本国ではちゃんと劇場公開されてる映画なので、私がいつも観ているようなのに比べればすごくよく出来てはいます。技術的に。なのでぼちぼち暇つぶし程度には楽しめましたが、やっぱり没個性的で超地味。これならヴァンダム作品の方がまだヴァンダミング・アクションがある分ましなんじゃないですかね。


「物理的に強い母親」とは言ったものの、本作のショーンは別に元CIAだったとかマーシャルアーツの達人だったという設定もなく、何のとりえもない普通の主婦のようです。そんな一般人が屈強で凶悪であろう強盗団4人組と対等に渡り合えるのか?


この点についてどう説得力を持たせてくるのか心配でしたが、本作の場合強盗団をかなり弱弱しい奴らにすることでバランスをとってきました。女性or老人主人公のアクション映画でときたま見られるデフレ系アクションです。これは一歩間違えると微笑ましく見えてしまうリスクがあります。本作の強盗団は知能と戦闘力が低いだけじゃなくメンタル面でも猛烈に弱い。それを象徴するのが、ショーンと強盗が出くわした時のこの会話。


ショーン「(あんだらは私たちに構わず)お金を持って消えればいいだけ」

強盗A「確かに…」


顔を見られた以上始末しろとボスに指示されているのに「確かに…」ときた。やっぱり微笑ましくなってしまった。この強盗、最初から最後まで腰が引けまくりで逆に面白いです。ま、一応マトモな強盗も混じってはいますが、結局油断しまくるのでどうしようもない。もっとベストを尽くしてくれないとご都合主義にしか見えないんですよ。主人公を凡人にするならするでもっと設備を活かすとか戦略的に動くとか何とかしてほしかった。別に機転が利いてるわけでもなし、ただ何となく相手の弱腰や油断につけ込んで勝つだけでは盛り上がれるわけがない。人物描写も非常に薄いし、あまり記憶には残りそうもない作品でした。


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