「コカイン・ベア」 感想 麻 薬 熊 直 撃

概要

原題:Cocaine Bear

製作:2023年アメリカ

配給:パルコ

監督:エリザベス・バンクス

出演:ケリー・ラッセル/オシェア・ジャクソン・Jr/オールデン・エアエンライク/クリスチャン・コンヴェリー/ブルックリン・プリンス/イザイア・ウィットロック・Jr/マーゴ・マーティンデイル/レイ・リオッタ


1985年、麻薬の売人が飛行機からブツを持って飛び降りるが、パラシュートが開かずにそのまま死亡。森林にバラまかれたブツを食べたクマがハイになってしまう。そこへ滝の写生にやってきた子供たちと母親、森林公園のレンジャーたち、ブツを回収しようとするギャングや警察が集まり…


予告編

感想




最近、私の住む街ではヒグマが異常なほど頻繁に出没しておりうかつに散歩もしにくい状況です。犠牲者が出る前に駆除した方がいいんじゃないかと思うんですよ。しかし人手不足のためか、それとも都会から「可愛いクマさんを駆除するなんて!」とクレームが付くせいなのか、一向に有効な対策が取られません。ツキノワグマならともかく、ヒグマが可愛いなどとんでもない勘違いです。私は日本の全国民に「羆嵐」「シャトゥーン」を読ませるべきである…と常々考えています。




では、本作で描かれるアメリカクロクマはどうだったのか?

というと、これが大変カワイイです。

どうすんのこれ?

また間違ったクマ人気が出ちゃうじゃないか!




…まあでも、冒頭でクマと出くわしたハイカーがそういうお花畑な人たちを揶揄してくれてはいます。クマを舐めている人が生きながら引き裂かれてムシャムシャされる様を眺めるのは非常に爽快です。



考えてみれば劇場でクマ映画を観るのは初めてのこと。元祖クマ・パニック映画の「グリズリー」「ジョーズ」の露骨な二番煎じだったのもあって「クマ映画=ゴミ」というイメージが長年染み付いていたわけですが、本作のヒットでそれが覆るといいですね。



本作はただのクマパニックではなく、アホな売人が森にバラまいた白い粉を食べてしまったクマがラリックマと化して大暴れ!…という面白くないわけがないネタなので予告を見た時から大いに期待していました。確かにこれはべらぼうに面白い。私の好みで言わせていただくとちょっとコメディに振りすぎかなという気もしましたが、ゴアな人喰いシーンも充分盛り込んであり、アニマルパニック好きにはたまらない作品でした。



いくらクマとはいえあんな大量の白い粉を食べてたら死んでしまうだろ!と心配になりますが、1985年に実際にあったコカインベア事件では普通にお亡くなりになってしまったとのこと。そんな事件を元ネタによくこんなトンデモ映画を発想したもんだなと感心します。被害者はクマの方であり、完全にクマ側に立った映画です。人間側は群像劇仕立てで主人公的な中心人物が不在というのもあって、どうもこの気の毒なコカインベアの方に感情移入させられてしまいます。



そんな感じでそこはかとない動物愛護精神を漂わせつつ、白い粉をキメてハイになって人間を襲いまくるラリックマのなんと魅力的なことか。白い粉を食べつくした後、ちゃんと薬抜いてリハビリできるの?とかそんなことまで心配してしまうくらいです。これは絶対「コカイン・シャーク」とか「コカイン・アルマゲドン」とかわけのわからんパチモンがモリモリ作られるな。



こんな映画を観てしまったら、私も散歩中にヒグマと出くわしたら喜んでしまいそうです。そうなってからでは遅いので、やっぱり行政には早いところ街に出るヒグマを駆除していただきたい。そんな風に思いました。


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