「バトル・オブ・チェルノブイリ 危険区域」 感想 原発を何だと思っているのか

概要

原題:Ostatni Samotnik

製作:2019年ポーランド

発売:トランスフォーマー

監督:アマデウス・コツァン

出演:ダミアン・ジェンビィンスキ/カロル・コピエツ/グジェゴシ・ハラマ/パウル・カスコヴィアク


チェルノブイリ原発事故から30余年、そこは未知の現象が多発しミュータントが蔓延る危険なゾーンと化していた。ミハウは原発跡地で消息を絶った兄を探すため危険区域に侵入するが、金を稼ぎにやってきた傭兵集団やミュータントと戦うことになってしまう。


予告編

感想





珍しいポーランド産のC級アクション映画。

ジャケットは面白そうに見えたけど、クソつまらなかったです。いかにも東欧らしく変に暗くて固くて真面目なばかりで、遊び心がなくていけない。

正味63分しかない短さなのに危うくギブアップしそうになったほど永く感じました。400円も払ってこれはキツイ。



内容は、チェルノブイリ原発跡地で消息を絶った兄を探すため乗り込んだミハウという青年がなんやかんやするという話。かろうじてギブアップしなかったとはいえ、ほとんど意識を失っていたので何をなんやかんやしていたのかはあまり記憶していません。ジャケットの中央にデカデカと映ってるイモータン・ジョーみたいなヤツが重要人物なんだろうな…と思ったらあっさり退場しやがったのが一番印象に残ったという始末。なんであんな気合入ったビジュアルの男がたった数分の出番でいなくなるのか。実に理解に苦しむ采配です。



あとはとにかく主役のミハウのポエミーなモノローグが気怠くてたまらなかった。

例えば、



ここを支配するのは自然で

人間は侵入者だ

危険がうごめく世界では

夕日の美しさが心に沁みる



こういうモノローグが続くと、何スカしてんだこのガキは~と文句の一つも言いたくなりますよ。大体アクションが少なすぎるんですよね。たき火を囲んでダラダラしゃべってるシーンが無駄に長すぎる。ちなみにその無駄話によると、原発炉心に行くと何でも願いが叶うらしく、不老不死を願った奴がいるとか何とか。こいつら原発を一体何だと思っているのか。別にミハウたちが炉心に行くわけでもないので本当にただの無駄話だったし。



本作はクオリティはともかく、専門用語が妙に多いんですよね。チェルノブイリ原発事故跡地の危険区域「ゾーン」「アノーマリー」、そこを探索して金を稼ぐ人のことを「ストーカー」と呼ぶなど独特の世界観を持っています。しかし、こんな低予算C級アクションにしては設定が凝り過ぎている。さては何か元ネタがあるのでは?…と思って「チェルノブイリ ストーカー」で調べてみたところ、やはりありました。




「ストーカー シャドー・オブ・チェルノブイリ」

…というウクライナ製のFPSゲームが元になっているようです。

私はFPSをやらないので知りませんでしたが、評判はかなりいいみたいですね。監督は本作以外にもチェルノブイリ原発のドキュメンタリーを数多く撮ってきたとのことなのでよほどのチェルノブイリマニアなのでしょう。



…しかし、どうせチェルノブイリネタのゲームを映画化するのならこれじゃなくて





「アトミックランナー チェルノブ ~戦う人間発電所~」



こっちを映画化してほしいですな。これなんてチェルノブイリ原発事故から32年後どころかたったの2年後に出てますからね。今も語り継がれるデータイーストの蛮勇こそ映画化するにふさわしい題材ですよ。



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