「風鳴村」 感想 地獄の製粉業者

概要

原題:The Windmill Massacre
製作:2016年オランダ
発売:プルーク
監督:ニック・ヨンゲリウス
出演:シャーロット・ボーモント/ノア・テイラー/パトリック・バラディ/フィオナ・ハンプトン/アダム・トーマス・ライト

オランダの名所を巡るツアーに参加したジェニファー。しかしバスが人里離れた田舎で立ち往生してしまい、無人の小屋で一夜を明かすことに。その近くには、悪魔に魂を売り渡したという曰く付き製粉業者の風車が佇んでいた。

予告編




感想

大ヒット作『犬鳴村』の話題に続け!
海外版【実録!恐怖の村シリーズ】

…だそうなんですが、「犬鳴村」って邦画ですよね。邦画にオランダ映画を便乗させるとは珍しいパターンですね。まあ別に何に便乗したって構わないのですが、「村シリーズ」とまで銘打っておきながら「村」要素が皆無だとは思いませんでした。日本の配給業者はどこもかしこもデタラメやり放題ですなあ。私が担当者だったら普通に「ウィンドミル・マサカー~地獄の製粉業者~」あるいは「風車のいけにえ」という邦題にしてしまうところですが、そんなありきたりな発想では生き残れない業界なんでしょうね。

内容は、ハッピーオランダツアーという名の田舎巡りに参加した訳ありのメンバーが携帯も通じないド田舎で立ち往生してしまい、曰くつきの風車に近づいたところを地獄の製粉業者に襲われるという話です。風車がたくさんある村に迷い込んだとかそういう話ではなく、風車がポツンと一つあるだけ。

殺人鬼の職業が「製粉業者」ってのは地味に目新しくて良いです。風のない日も風車が回るように悪魔と取引した、みたいな曰くが語られていましたがやっぱ風車のオーナーは無風の日が続くと生活に困ったりするもんなんですかね。しかし無風の日でも回るようにしただけで大金持ちになれるものなのか? 悪魔と取引する価値はあるのか? 何とも不思議な設定ですが、この殺人鬼にはオランダならではの郷土色があって好感が持てます。

さらに本作、スプラッター描写がかなり過激。切り株から内臓ポロリまでしっかり濃い目の残虐表現を拝ませてくれる。ここは大変素晴らしい。

ただ、ツアー客の中になんか変な日本人が混じってるんですよね。たかし君とかいう名前の。彼は明らかにちょっとおかしな人物として描かれていて、特にゴマを炊きながら白目をむいて一心不乱に念仏?を唱えまくるシーンは同じ日本人としてはちょっと頭が痛くなりました。オランダ人の中の日本人はどんなイメージなんだ。

まあ、たかし君だけがスピリチュアルな妄想を垂れ流すというわけではなく、実際にこの風車と殺人鬼に超常的な要素が絡んではくるんですが。スプラッター映画にしては凝った設定とストーリーだったかなと。オチのアレもかなり驚きました。

別に実録でも村でもないし、このジャケットと宣伝に惹かれて借りた人が満足するかどうかは非常に怪しいところですが、スプラッター映画としては良作だと思います。

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