「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」 感想(ネタバレあり)

概要

原題:Once Upon a Time in Hollywood
製作:2019年アメリカ
発売:ソニー・ピクチャーズエンターテインメント
監督: クエンティン・タランティーノ
出演: レオナルド・ディカプリオ/ブラッド・ピット/マーゴット・ロビー/アル・パチーノ/ダコタ・ファニング

リック・ダルトンはピークを過ぎたTV俳優。スターへの道が拓けず焦る日々が続いていた。そんな彼を支えるクリフ・ブースは彼に雇われた付き人でスタントマン、親友でもある。エンタテインメント業界に精神をすり減らし情緒不安定なリックとは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフ。そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と女優シャロン・テート夫妻が越してくる。自分たちとは対照的な二人の輝きに触れたリックは、俳優としての光明を求めイタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするが—。
(↑ソニー・ピクチャーズ公式HPより)

予告編





感想


得体の知れないZ級映画を漁るのにも疲れてきたので、メジャーな大作で脳を癒すべくTSUTAYAに行って新作ランキングの2位だった本作を借りてきました。


これはタランティーノ監督の9作目だそうですね。私は「レザボア・ドッグス」から「デス・プルーフ」までは追ってましたしどれも好きでしたが、その後の作品は尺が長くてずっとスルーしてきてしまいました。「イングロリアス・バスターズ」もブルーレイは持ってるんですがね。長すぎて未だに観れてません。本作もまた、2時間41分と恐ろしく長尺です。普段観ているB級ホラー2本分もある。それならB級ホラーを2本観た方がいいのでは?


…などと考えてしまう貧乏性が駄目なんでしょうね。何にせよ2時間41分もある映画を観るのはかなり抵抗があったんですが、いざ実行してみたら特に疲れたり退屈することもなく最後まで楽しめました。やはりタランティーノ作品は安心安全の保証付きと考えて良さそうです。私の場合、前日に最低最悪のZ級映画を観ていたのでなおさら本作が神々しく映りました。


ところで私はタランティーノ作品の中では「デス・プルーフ」が一番好きなんですよね。と言ってもあれが面白いのはラスト5分くらいだけで、それ以外はカート・ラッセルと女の子がひたすら駄弁ってるだけ?の眠くてどうしようもない映画なんですが、とにかくラスト数分のカタルシスが爆発的に素晴らしかった。

で、本作もその「デス・プルーフ」とほとんど同じようなノリの映画なのではないかと。
本作も始まりから2時間過ぎまではなんてことのない日常シーンがそれはもう延々と続き、ラスト15分間で爆発的なカタルシスを得られるという作りです。


ただ本作の場合はその日常シーンもそれなりに楽しめるのは良かったです。なんせ2時間以上もありますからね。とはいえ1969年のハリウッドが舞台なので、その時代をアメリカで過ごした人でなければ郷愁に浸れないし、100%は楽しめないのかなというハードルの高さも感じます。


それより気になったのはシャロン・テート殺害事件を題材にしていることです。なんかTSUTAYAの新作コーナーにシャロン・テート事件の他の映画やマンソンファミリーの映画が不自然に並べてあるなあと思ったら本作に便乗してたんですね。本作を観る場合最低でもシャロン・テート殺害事件についての知識は必須でしょう。でないと全く意味が分からなくなりそう。

しかしそうなると、まさかタランティーノ映画に欠かせないドギツいバイオレンス描写があの事件のシーンで発揮されてしまうのか?
ということが心配になってきてたまらない。


主人公はポランスキー夫妻の隣に住んでいる落ち目のスターとそのスタントマン。デカプリオとブラッドピットの初共演らしいですが、並べてみるとブラッドピットの方が異常にカッコイイですね。まあ役柄のせいもあるでしょうが。デカプリオのダメなオッサン感は素晴らしい。


なんやかんやあってマンソンファミリーのヒッピー共がポランスキー邸の前にデカプリオ宅を襲撃してくるわけですが、ああここで愛すべきデカプリオもブラッドピットもヒッピー共にぶち殺されてしまい、シャロンテート事件の悲劇につながっていくのかな…

…などと思った私がアホでした。まさかデカプリオとブラッドピット(と犬)がヒッピー共を「デス・プルーフ」みたいなノリでぶち殺してそのままハッピーエンドとはね。これにはほんと心の底からスカッとしました。

ということで、本作は普通にオススメです。
まあ別に私などが今更言わなくても皆観てるとは思いますが。



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